2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284086
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 賢 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 理事 (90230482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 悠一郎 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071)
佐藤 仁史 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60335156)
引野 亨輔 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90389065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 比較史 / 近世史 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア伝統社会における秩序形成とその近代的変容に関わり、近世中国における事例を集中的に検討した。具体的には、1)人の移動によって再構築される中国近世の社会秩序の特質を、改めて時間軸的、空間軸的に比較しつつ明示化すること、2)清代中期から清末にかけての救荒事業(飢饉の際の食料供与等の福祉事業)を素材として、地域社会、ならびに王朝国家の具体的な施策から公権力自体の性格と変容を考察すること、3)清朝の滅亡と辛亥革命時期において、基層社会における権力表象の連続と変容を考察すること、等を中心に作業を進めた。その結果、とりわけ救荒事業については、清末にかけてより広域的なネットワークのもとで救済事業の遂行が企画されていく傾向を、一つの仮説として検討した。これは中国における伝統社会が、その内側から統合的な国家支配を自律的に生成していく過程と同期していたとも考えられ、同時期における東アジア諸地域との比較に関する必要性も再確認することができた。 中国近世・近代移行期における地域社会と国家権力の関係性は、これまでの研究史においても大きな課題であったのだが、これを具体的な社会秩序維持のための救荒事業、ならびに、地域社会における民衆文化の世界から捉えられた権力表象の観点から検討することで、新たな可能性が開かれるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は当初、平成29年度を最終年度と予定しており、これまでの研究成果を取りまとめるために海外の研究者を招聘した国際シンポジウムの開催を期していた。しかしながら、招聘を予定していた研究者の来日が困難となったため、シンポジウムについては断念せざるを得なかった。したがって、本研究の比較史的成果を、海外の研究状況に立脚した海外からの視点と交錯させつつ、確認する最終作業については、次年度に延期する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度に開催を断念した国際シンポジウムを実施し、研究成果の最終的な取りまとめを行う。比較史をテーマとする本研究においては、海外の研究状況に立脚した海外の研究者の視点と、本研究の研究成果を対比的に検討する作業は不可欠であると考える故である。
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Causes of Carryover |
昨年度は東アジア近世比較史をテーマとした国際研究集会を予定していたが、招聘を予定していた研究者複数が来日できなくなったため、開催を断念した。これによって当該研究集会の開催、海外研究者の招聘旅費、研究取りまとめのための印刷費等を支出しなかったため、次年度使用額が生じた。これらは本年度に実施する国際研究集会等で使用する。
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