2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative History of Early Modern East Asia
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26284086
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 賢 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 理事 (90230482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 悠一郎 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071)
佐藤 仁史 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60335156)
引野 亨輔 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90389065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 東アジア / 伝統 / 近世 / 近代 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究プロジェクトの最終年度に当たっていたため、「近世化」する東アジア社会において「伝統」を語り出し、かつ「伝統」を記憶するために残された近世日本の古籍・出版史料に立ち帰り、これらについて集中的に検討した。 取り上げた第一の検討対象は、近世末期日本において出版された「漢文」史料である。近世末期の儒者たちは、しばしば「漢文」(古典中国語)という発表媒体を用いて論説を発表したが、その中で彼らは往々にして「和」と「漢」「中土」「中夏」、あるいは「皇国」と「支那」の「伝統」について対比的に論及する。列島で成熟した伝統社会は、儒者の目から見れば明らかに中国のそれとは異なるすがたに他ならなかったが、かれらはそれを社会の後進性であるとは考えない。むしろ混迷する中国の状況とは無縁の持続的な安定性によって高く評価しようとする。すなわち、近世は「伝統」的な社会体制という実態が形成された時期であったと同時に、それを「外部」との対比によってただちに自尊の「語り」へと転化する機制が働いた一時期でもあった。近世日本の社会実態における固有性の強調は、「皇国」の特殊性の言明へと帰結していく。その意味で、近世的な「伝統の完成」、あるいは安定的な伝統社会という自覚は、近代ナショナリズムへの淵源であったとも考えられるのであり、このような「近世に淵源を持つ近代」という着想を得られたのは本研究の成果であったと言える。 その他の検討対象を例示すれば、近世~近代の仏教書であり、あるいは武士の集めた蔵書、蔵書から伺われる知的教養の体系である。これらの検討においても、近世的伝統と近代の「断絶」ではなく、むしろ連続面に注目する必要があるのではないかとの見通しが得られた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)