2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26284102
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三枝 暁子 立命館大学, 文学部, 准教授 (70411139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 泰幸 大谷大学, 文学部, 講師 (20410970)
鎌倉 佐保 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60468824)
上川 通夫 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (80264703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 郷 / 村 / ムラ / データベース / 祭祀 / 信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、本科研がめざす郷・村=「ムラ」の初見年代情報を収載したデータベース(=「ムラの戸籍簿」)の作成について、大和国・山城国・因幡国3カ国のデータベースをほぼ完成させた。また伊勢国・伊賀国をはじめ「ムラの戸籍簿」研究会メンバーが各自で分担して作業している各国のデータベースも、完成に向け作業が進んでいる。「ムラの戸籍簿」研究会は、立命館大学および大谷大学を会場として、計8回開催した。まず2015年5月に、花田卓司「第5回シンポジウムの総括」と服部光真「三河国普門寺史料と研究の現段階」の2本の報告を得た。続く6月には、花田「越後国の郷と村」、松井直人「橋本道範氏「近江国野洲郡兵主郷と安治村」を読む」の報告を得た。7月には、大欠哲「下総国の郷と村」と谷昇「春田直紀氏の近業と中世史料初出村・浦の「史料類型別分析」」の報告があった。また9月には榎原雅治「山科音羽郷の土豪粟津氏について」および鎌倉佐保「伊勢国の郷と村」の2本の報告を得た。さらに10月には、吉永隆記「美作国弓削庄における祭祀と所領編成」、中西健太「大山喬平『日本中世のムラと神々』とその書評を読む」の2本の報告を、また11月には小林保夫「近世文書による山科七郷中世村落復原の試み」と題する報告を得た。12月には門井慶介「隠岐・石見国の郷村」、工藤克洋「『ムラの戸籍簿』の情報発信を考える」の2本の報告があり、さらに年明け1月には研究代表者による「武蔵国秩父郡の信仰とムラ」および服部「中世三河瀧山寺と郷・村」の2本の報告を得た。このほか2月に、本科研最終年度に出版を予定している論集の執筆者会議を立命館大学にて開催し、論題等の情報共有をはかりつつ今後の進め方の確認を行った。また3月には三河国の郷・村の世界を探るため、普門寺と瀧山寺の巡見を行い、また豊橋市美術博物館の大般若経展を見学した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
郷・村表データベースを作成するにもっとも適した自治体史が公刊されていない、大和国・山城国のデータベース作成が順調に進んだ。 各自データベース作成の経過報告の場であり、なおかつデータベースから浮かび上がる郷・村=ムラの内実を共有する場である「ムラの戸籍簿」研究会を、ほぼ毎月開催することができた。またその告知や、報告された内容の概略を、ブログで発信することができた。 最終年度の刊行をめざしている論集の内容について、出版社の担当者も同席のうえで、執筆者会議を開くことができた。そこで、ムラの個別研究の成果のみならず、データベースそのものの発信方法について、出版社の支援のもと、具体的な提案を行うことができた。 中世三河国の郷・村の紐帯的位置にあった普門寺や瀧山寺の巡見を行うことにより、ムラと宗教の深いつながりを体感することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度にほぼ完成しつつある大和国・山城国・因幡国等の「ムラの戸籍簿」=データベースについて、より詳細な史資料の検討を通じ、戸籍簿の精緻化をめざす。また伊勢国・伊賀国をはじめ、研究分担者や「ムラの戸籍簿」研究会メンバーがとりくむ各国のデータベースが完成するよう作業を進めていく。さらに、九州・四国・東北地域で未だデータベース作成にとりかかれていない国があるので、そうした国々のデータベース作成も進めていきたい。 データベース完成にむけ、各自の作業を着実に進め、その成果を共有していくため、今年度も月に1度のペースで「ムラの戸籍簿」研究会を開催していく。その折に、研究会メンバーのみならず、古代・中世の郷・村研究にたずさわっておられる研究者を、ゲストスピーカーとして招き、報告していただく、もしくは議論に参加していただく機会を設け、データーベースがもつ意義についてみつめなおすこともこころがけたい。 データベースを今後の中世村落研究に寄与しうる中身にしていくためにも、作成者自らその意義について「研究」を通じ訴えていく必要がある。よって論集の刊行は、本科研の成果発信として重要な位置づけをもっている。論集の完成に向け、出版社と連携しながら執筆者会議を重ねていくとともに、「ムラの戸籍簿」研究会の場においても論集刊行をふまえた研究報告の機会を何度か設けるなど、刊行にむけた具体的なとりくみを進めていくことにしたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度直接経費は、前年度未使用額361,180円と本年度請求額1,100,000円を合わせ、ほぼ平成27年度の計画どおりに執行することができたが、結果として基金助成金において41,745円の未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データベース作成等、アルバイト謝金を中心に使用する.
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