2015 Fiscal Year Annual Research Report
儒教的民本主義と国民国家建設―東アジアの政治文化史的比較
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26284105
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
趙 景達 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (70188499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 教授 (30161772)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
村田 雄二郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70190923)
須田 努 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (70468841)
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 准教授 (80468222)
山田 賢 千葉大学, 文学部, 教授 (90230482)
小川 和也 中京大学, 文学部, 教授 (90509035)
伊藤 俊介 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (10737878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東アジア比較史 / 身分制解体 / 士と知識人 / 民乱と百姓一揆 / 由緒と族譜 / 儒教的民本主義 / 国民国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「儒教的民本主義と国民国家形成」と題してシンポジウムを行った。本科研のメンバーからは、伊藤俊介氏が報告に立ち、外部から日本史2名と中国史1名の研究者を招聘した。また、ハイデルベルグ大学のヴォルグガング・ザイフェルト名誉教授を招聘してコメンテーターとして参加してもらった。結論というものはないが、日本・朝鮮・中国では近代受容のあり方が違っており、日本が規律的で、国民国家形成に適合的なのに対して、朝鮮・中国は儒教的民本主義に基づく教化主義的側面によって国民国家形成には必ずしも適合的でないことが示唆された。本シンポジウムの開催に当たっては院生の協力を得た。 ザイフェルト教授の招聘を機に、「ヨーロッパにおける丸山真男研究の現状」と題して特別講演をしてもらった。ザイフェルト教授はヨーロッパにおける丸山真男研究の第一人者である。丸山における儒教の問題は近代や国民国家形成の問題を比較史的に考える場合重要である。本講演は明治大学と協力して行い、科研メンバー以外の多くの参加者を得た。 さらに、各人の研究状況と上記のシンポジウムの成果を踏まえて合宿を行い、総括を行うとともに、次年度以降の研究計画について議論した。2016年度は、本年度のシンポジウムの成果を踏まえて、ハイデルベルグ大学の東アジアセンターを訪問し、ヨーロッパにおける儒教研究や東アジア研究の座標軸を導入することで、儒教と国民国家の問題をより多角的に見ていこうという議論が導き出された。 なお、本年度も昨年度に引き続いて各研究者は資料調査に務め、書籍購入等を精力的に行い、出張調査にあたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シンポジウム「儒教的民本主義と国民国家形成」では、分担研究者だけでなく、多くの一般参加者の出席をえて、活発な議論が展開された。研究分担者だけの議論では気付かなかった点も多々出され、研究分担者にとって大きな刺激となった。 また、ハイデルベルグ大学のザイフェルト名誉教授による講演は、ヨーロッパにおける丸山研究というだけでなく、ヨーロッパの東アジア観を知る上で大変参考になるものであった。 以上の成果によって、次年度以降の研究の方向性がはっきりと見えてきたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、ハイデルベルグ大学の東アジア研究センターを訪問して、シンポジウムを開く予定である。ザイフェルト名誉教授の協力も確約されている。また、そのための事前研究会を開く予定となっている。 そして、年度末には各研究分担者の研究進捗状況を点検し合って、総括的な議論をいかに組み立てていくかについての研究会を開きたい。
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Causes of Carryover |
計画していた海外出張が、各人の都合や先方の受け入れ準備が整わなかったために実現できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、ハイデルベルグ大学東アジアセンターを訪問し、シンポジウムを開催する予定である。その際、分担研究者以外の帯同も計画している。具体的には当該大学関係者である。
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Research Products
(13 results)