2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284121
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
宮路 淳子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (30403322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 隆 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (30175492)
深草 俊輔 奈良女子大学, 古代学学術研究センター, 特任助教 (50723582) [Withdrawn]
河原 一樹 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60585058)
舘野 和己 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (70171725)
丸野 孝浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (60648351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 動物考古学 / 膠生産 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
文献史料収集:膠の製法や流通に関する文献の収集を実施した。膠に関して、日本だけでなく、東アジア諸国の文献を調査した。 膠を含む文化財資料の収集:東アジア地域の研究・教育機関、博物館、社寺などと連携し、資料の提供または貸与を求めた。また、コラーゲンを含む動物試料(骨・皮・腱など)のさまざまな部位を収集した。コラーゲンの、部位による変化に関しては、独自に配列情報を得る必要があるためである。 抽出したタンパク質の質量分析による解析:文化財資料からのタンパク質の抽出:予備実験から、数mgのタンパク質資料が手に入ればMALDI-TOF/TOF質量分析装置で解析可能であることを明らかにしてきた。極微量試料の場合、NanoLCをオンラインで結合したLC-ESI-LTQ質量分析が望ましい手法であるが、この装置の使用は当面、外部の研究機関に依頼する。これら2種類の分析法は異なるイオン化の原理に基づくため、両装置を適宜使い分けることにより幅広い試料の分析に対応することを試みた。 動物遺存体の出土状況の精査:東アジア地域において、膠生産は国家維持に必要な墨(記録媒体として)の生産や、建造物・寺院建築に欠かせない物資であったため、国家によりその生産が管理されていた可能性が考えられる。そのため主に都城を中心として、動物遺存体の出土状況を精査し、墨・膠生産との関わりを考察した。 東アジア地域の調査:昨年度に予備調査を行った内モンゴル地域ならびにモンゴルにおいて、引き続き膠関連資料の調査・収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膠の製法や流通に関する文献の収集がすすんでいる。膠に関して、日本だけでなく、東アジア諸国、特にモンゴル関連の文献の調査をすすめている。東アジア地域、特に中国内モンゴル自治区、モンゴル国の研究、博物館と連携し、資料の提供または貸与を受けている。コラーゲンを含む動物試料(骨・皮・腱など)のさまざまな部位の収集がすすんでいる。予備実験から、数mgのタンパク質資料が手に入ればMALDI-TOF/TOF質量分析装置で解析可能であることを明らかにしてきた。極微量試料の場合、NanoLCをオンラインで結合したLC-ESI-LTQ質量分析が望ましい手法であるが、この装置の使用は当面、外部の研究機関に依頼する。これら2種類の分析法は異なるイオン化の原理に基づくため、両装置を適宜使い分けることにより幅広い試料の分析に対応することを試みている。 東アジア地域において、膠生産は国家維持に必要な墨(記録媒体として)の生産や、建造物・寺院建築に欠かせない物資であったため、国家によりその生産が管理されていた可能性が考えられる。そのため主に都城を中心として、動物遺存体の出土状況を精査し、墨・膠生産との関わりについて論考をまとめつつある。 東アジア地域の調査:内モンゴル地域ならびにモンゴルにおいて、膠関連資料の調査・収集を行ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
文献史料収集:膠に関して、日本だけでなく、東アジア諸国(中国・モンゴル・韓国等)の文献を集中的に調査する。必要に応じて、文献解題及び日本語訳の発表をすすめる。 膠を含む文化財資料の収集:東アジア地域の研究・教育機関、博物館との連携をさらにすすめる。抽出したタンパク質の質量分析による解析:抽出したタンパク質は、タンパク質分解酵素で適度な長さに分解し、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化タンデム飛行時間型(MALDI-TOF/TOF)質量分析装置を用いて解析する。アミノ酸配列決定から、試料に含まれるタンパク質の動物種を決定する。更に、コラーゲンにおいては、配列中の特定のアミノ酸残基は部位依存的に翻訳後修飾によって水酸化が起こることが分かっており、また環境変化や混雑物(特に架橋剤など)により非天然の修飾が起こることも知られる。温度変化などでペプチド結合が切断されることから、それらの分析も質量分析で行う。 文化財資料からのタンパク質の抽出:極微量試料の場合、NanoLCをオンラインで結合したLC-ESI-LTQ質量分析が望ましい手法であるが、この装置の使用は当面、外部の研究機関に依頼する。これら2種類の分析法は異なるイオン化の原理に基づくため、両装置を適宜使い分けることにより幅広い試料の分析に対応することを試みる。 動物遺存体の出土状況の精査:東アジア地域において、膠生産は国家維持に必要な墨(記録媒体として)の生産や、建造物・寺院建築に欠かせない物資であったため、国家によりその生産が管理されていた可能性が考えられる。そのため主に都城ならびに地方国庁といった行政組織遺跡を中心として、動物遺存体の出土状況を精査し、墨・膠生産との関わりの考察をすすめる。内モンゴル地域ならびにモンゴルにおいて、引き続き膠関連資料の調査・収集を行い、国内外での学会等での発表を積極的におこなう。
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Causes of Carryover |
研究分担者の交代があり、当初研究計画から若干ではあるが遅れが生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度取り組みが遅れた内モンゴルへの研究分担者等の派遣に使用する
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Research Products
(7 results)