2015 Fiscal Year Annual Research Report
EU統合下における周辺農山村の人口変動とルーラル・ジェントリフィケーションの進展
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26284130
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
山本 充 専修大学, 文学部, 教授 (60230588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 聡史 埼玉大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (10314460)
伊藤 徹哉 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (20408991)
飯嶋 曜子 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (20453433)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 農村 / チロル / 人口 / 観光 / ジェントリフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストリア・チロル州における事例集落マイヤホーフェンにおいて現地調査を行い、ルーラル・ジェントリフィケーションの展開過程を把握することを試みた。 チロル州における人口動態をみると、1960年代以降、若年層の流入がみられ、2001年以降はその傾向がさらに強まっている。また、2000年以降はチロル地方の外国人の国籍構成が大きく変化し、ドイツ人が急増、2011年にはドイツ人がチロル地方で最大の外国人勢力となっている。このように、チロル州においては農村人口の質的変化がみられ、こうした変化が顕著に見られたのが、マイヤホーフェンを含むチラータール地域であった。 チラータール地域は、チロル州でも有数の観光拠点として知られ、多くの観光客も集めてきた。そこでは、世帯を単位として農業に観光を組み入れたプルリアクティビティが行われてきたが、観光のもつ重要性が高まり、観光客のニーズに対応した観光施設の増改築が図られた。従来から居住する農家の就業においても質的変化がみられたといえる。 同地域では、2012年に、地域計画連合によって戦略計画が策定され、持続可能な観光開発の方向性が示されている。同計画では、大規模宿泊施設や域外のチェーンホテルの新規立地が制限され、抑制的な開発が指向されている。 人口変動に伴う集落景観の変化をみると、宿泊施設では伝統的な建物類型が選択される傾向にあり、これらが増加することで、当地において「チロルらしさ」のイメージが維持・強化がされている 。これらの新しい建物では施設などの機能の近代化や大規模化を確認できた。一方、住宅においても新築や改築を通して建物の近代化と改善が進展しており,既存建築物でも改修が行われ,外見上や機能的な改善が図られている。また,住宅の大規模化と建物の集合住宅(多世帯)化が進展し,集合住宅を含めた大規模な建物が増加傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地において、建築物調査、チロル州政府、マイヤーホーフェン役場、チラータール広域計画組合などでインタビュー、資料収集を行い、分析に必要なデータを収集することができ、その成果の一部ではあるが、学会で発表し、また、論文として刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度において収集したデータのさらなる解析を進める。加えて、チロル州チラータール地域のドイツ人が流入し居住している地区において、建築物調査と、ドイツ人へのアンケート調査を行う。これを通して、どのような属性のドイツ人がどのような理由でチロル州に流入しているのか、そして、彼らがチロル州において、どのような行動を行い、チロル州の社会や経済、環境にどのような影響を与えているのか明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた物品の購入と、データ分析の補助に用いる人件費・謝金の利用を一部行わなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に購入しなかった物品の購入を行うとともに、データ分析の補助に人件費・謝金を利用する。
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Research Products
(6 results)