2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジア法整備支援20年の民事基本法の深化に関する比較法研究
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26285004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 誠 千葉大学, 法務研究科, 教授 (20334162)
飯 考行 専修大学, 法学部, 准教授 (40367016)
川嶋 四郎 同志社大学, 法学部, 教授 (70195080)
草野 芳郎 学習院大学, 法学部, 教授 (70433711)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 法整備支援 / アジア法 / 民事基本法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代以降のアジア諸国で展開した欧米ドナーによる法整備支援の渦中で、日本ODAによる民事基本法分野の法整備支援が実施され、なかでも社会主義市場改革を進めるベトナム・カンボジア・ラオス・中国・インドネシア・ネパール・ミャンマー等が主要対象諸国であった。支援開始20年を経た現実の実施状況においては、民事法の商化へ進む向き、民商一体で統一民事法へ歩む向きなどの多様化が見いだされることから、改めて条文解釈に依拠した比較法的視座から支援成果の検証を行うことが本研究の課題である。3年計画の初年度である平成26年度は本研究の第一段階に当たり、法整備支援を受けた制定法の実施過程の論点を抽出する意図に立ち、日本側法整備支援実務家との連携により主要対象国毎に支援当初からの議論を整理するとともに(平成26年6月・10月の国内研究会)、対象国の民事法改正に関与する研究者との研究交流を深めた(同12月のベトナム調査出張、平成27年3月のカンボジア調査出張)。具体的には、契約法における信義則・公序良俗、表見代理、消費者契約、解除と現実履行、物権法における登記の効力、物権変動の主観要件などの論点について、司法過程における当事者の主張責任・立証責任分配・要件事実論などの訴訟法的視点で論点を掘り下げ、民事法の現実の実施動向の把握を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期のとおり、年2回の国内研究会合において研究分担者および法整備支援実務家である研究協力者との研究交流を実施し、そこでの予備的検討を踏まえベトナム・カンボジアにおける現地調査を実施し、現地研究者(ベトナム司法省・ハノイ法科大学・国立ハノイ大学法学部・カンボジア王立法経大学)、裁判官(ベトナム最高人民裁判所国際部、カンボジア控訴裁判所・プノンペン一審裁判所)、弁護士事務所、紛争当事者(土地紛争等)を対象とする聞取り調査・研究交流による有意義な成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究の第二段階として、民事基本法支援の成果物である主要制定法につき要件事実・立証責任分配に及ぶ実施動態に立ち入る分析をめざし、現地調査(ラオス・インドネシア・ミャンマー・ネパール等)を予定するとともに、国際学会(東アジア法社会学会議における特別セッション他)を通じて研究発信を実施する。当年度の研究調査は、第三段階である平成28年度において、制定法や条文解釈の法政策論的な傾向を明らかにする考察にとって予備調査としての目的を果たすものとなる。その過程では現地側研究者の協力を得つつ、オランダ・フランス・米国等の比較法研究者との研究交流をも深める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度内に一団によるミャンマー調査出張を予定したが、関係先のアポ取得等の困難から次年度に延期とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度中にミャンマー調査出張を実施する予定である。時期は、平成27年9月の直接選挙の前後で政情不安が予想されることから、年度後半を見込んでいる。
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Research Products
(14 results)