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2014 Fiscal Year Annual Research Report

日中両国における西欧立憲主義の継受主体にみる受容の態様

Research Project

Project/Area Number 26285010
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

高見 勝利  上智大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70108421)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小島 慎司  上智大学, 法学部, 准教授 (00468597)
宍戸 常寿  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20292815)
西村 裕一  北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60376390)
松井 直之  立教大学, 法務研究科, 助教 (60468858)
曽我部 真裕  京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80362549)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords国際研究者交流 / 憲法学 / 立憲主義 / 継受 / 中国
Outline of Annual Research Achievements

当初の研究計画に従い,研究対象となる日本への中国人留学生と当時の日本の憲法学の状況について,①各人の関心を特定し,②日中研究者交流会を通じて共有した。以下で分説する。
すなわち,②について,具体的には,中国側の5名の憲法研究者を招いて2014年8月下旬に東京で会合を持った。そこでは,中国人側から,まず,「人」に注目した関心として,中国でその著作が広く翻訳され現代においても大きな影響を残している美濃部達吉とその下で研究した幾人かの留学生を通して,日中両国における立憲主義の受容の断面を検出したいという関心が示され,それとの比較で,穂積八束についても検討が進んでいること,次いで,「事項」に注目した切り口として,憲法保障,法律による行政の原理,立憲主義を支える法曹を養成する制度についても関心が持たれていることの報告があった。こうした問題提起に触発される形で,日本側の本科研研究者も問題を具体化させた。
すなわち,①に関わることであるが,穂積,美濃部についてこれまでよりも突っ込んだ評価をするべきであること,美濃部の師である一木喜徳郎についても本格的な研究を要すること,従来批判されて終わっていた上杉慎吉についてもその学問形成の過程を正面から検討するべきであること,美濃部に代表される戦前の立憲主義憲法学が崩壊する法実践の過程で登場した金森徳治郎,田中耕太郎などについても詳しい像を描く必要があるなどが指摘され,各自の関心として具体化された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

積極的に評価しうることとしては,第一に,何よりも,中国側の研究者との信頼関係が維持でき,学術交流がなしえていること,第二に,日中の30代~40代の若手研究者も各自の関心を具体化し交流することができたことがある。これらは長期的には非常に重要な学問的資産となると思われる。しかし,明らかになった課題としては,何よりも,日中の間での関心の微妙なズレがある。すなわち,中国側は,戦前のリベラリストとしての美濃部の像を中心に,その憲法学が留学生を通じて中国へと波及する様子を描こうとするのに対して,日本側は,そうした,ある意味では教科書的な美濃部像に飽きたらず,生々しい戦前日本の現実を前に場合によっては保守化さえする美濃部の姿や,それ以前・以後の苦悶する憲法学者の姿をできるだけ正確に活写することに関心を寄せがちである。その理由を要するに,中国側に,現在の中国政治に美濃部を使って対峙したいという実践的関心が見られることに由来すると思われた。また,研究計画で強調されていた日中と西欧の立憲主義の異同については,本年度は十分に具体化しえたとはいえない。

Strategy for Future Research Activity

まずは,「研究実績の概要」に記した研究代表者・分担者の関心をそれぞれ具体化し,調査を続ける。そして,その調査結果を,中国大連で2015年8月21日から予定されている第2回の日中研究者交流会で報告し,討論に付す。そこでは,中国側からも,上記の各自の関心をさらに具体化した内容の報告を得られる予定である。「現在までの達成度」の理由の欄に記した2つ目の課題(西欧の立憲主義との異同)については,とりわけ日本側が意識して取り組むことになるが,個別の論者・テーマを掘り進めるなかで当然に検討することになると思われる。1つ目の課題については,法学の性格上,完全に消滅することはないであろう。むしろ,同じく東アジアに属する日中両国の憲法学の間で,一方は,立憲主義のモデルを求めて過去の人々が日本へと留学して学んだとする像を描き,他方は,それに理解を示しながらも立憲主義の日本的変容とも呼ぶべきものにも関心を持つという違いが生じていることがさらに自覚されることになると予想している。

Causes of Carryover

本年度半ばに,次年度,中国で研究交流会が行われることが具体的に決定し,その旅費及び発表準備のために支出しようと,基金部分を残したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の中国での研究交流会の旅費として支出することを予定している。

  • Research Products

    (15 results)

All 2015 2014

All Journal Article (11 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 『憲法改正』『生きた憲法』と第9条の解釈『変更』2015

    • Author(s)
      高見勝利
    • Journal Title

      憲法問題

      Volume: 25 Pages: 142-153

  • [Journal Article] 『憲法を改正する』ことの意味2014

    • Author(s)
      宍戸常寿
    • Journal Title

      論究ジュリスト

      Volume: 9 Pages: 22-29

  • [Journal Article] 集団的自衛権行使容認論の非理非道――従来の政府見解との関連で2014

    • Author(s)
      高見勝利
    • Journal Title

      世界

      Volume: 863 Pages: 177-187

  • [Journal Article] 「国民の代表者」と「日本国の象徴」2014

    • Author(s)
      西村裕一
    • Journal Title

      法律時報

      Volume: 86巻5号 Pages: 21-28

  • [Journal Article] 憲法ーー美濃部達吉と上杉慎吉2014

    • Author(s)
      西村裕一
    • Journal Title

      河野有理編『近代日本政治思想史――荻生徂徠から網野善彦まで』(ナカニシヤ出版)

      Volume: なし Pages: 229-257

  • [Journal Article] Leben und leben lassen!――平和の「科学」、自由の「哲学」2014

    • Author(s)
      西村裕一
    • Journal Title

      憲法理論研究会編『憲法と時代』(敬文堂)

      Volume: なし Pages: 39-54

  • [Journal Article] 砂川事件最高裁判決、田中補足意見、『必要最小限度』の行使2014

    • Author(s)
      高見勝利
    • Journal Title

      奥平康弘他編著・集団的自衛権の何が問題か 解釈改憲批判(岩波書店)

      Volume: なし Pages: 161-182

  • [Journal Article] 立法の『質』と議会による将来予測2014

    • Author(s)
      宍戸常寿
    • Journal Title

      西原博史編『立法システムの再構築』(ナカニシヤ出版)

      Volume: なし Pages: 60-82

  • [Journal Article] 憲法の運用と『この国のかたち』2014

    • Author(s)
      宍戸常寿
    • Journal Title

      長谷部恭男編『「この国のかたち」を考える』(岩波書店)

      Volume: なし Pages: 137-162

  • [Journal Article] 解説2014

    • Author(s)
      高見勝利
    • Journal Title

      金森徳次郎著作集Ⅱ(慈学社)

      Volume: なし Pages: 513-527

  • [Journal Article] 解説2014

    • Author(s)
      高見勝利
    • Journal Title

      金森徳次郎著作集Ⅲ(慈学社)

      Volume: なし Pages: 526-546

  • [Presentation] 明治・大正期の日本と清末民初期の中国における「立憲主義」の継受と変容ー有賀長雄に着目して2015

    • Author(s)
      松井直之
    • Organizer
      平成26年度日中歴史共同研究事業
    • Place of Presentation
      公益財団法人 日本国際問題研究所,東京
    • Year and Date
      2015-03-03
    • Invited
  • [Presentation] 立法システム改革と立法2014

    • Author(s)
      高見勝利
    • Organizer
      日本学術会議立法学分科会
    • Place of Presentation
      日本学術会議講堂,東京
    • Year and Date
      2014-07-06
    • Invited
  • [Presentation] Leben und leben lassen!――平和の「科学」、自由の「哲学」2014

    • Author(s)
      西村裕一
    • Organizer
      憲法理論研究会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      2014-05-11
  • [Book] 日中における西欧立憲主義の継受と変容2014

    • Author(s)
      高橋和之・高見勝利・西村裕一・毛利透・松井直之
    • Total Pages
      193
    • Publisher
      岩波書店

URL: 

Published: 2016-06-01  

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