2015 Fiscal Year Annual Research Report
Multiple Democracies の理論的実証的研究
Project/Area Number |
26285029
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
猪口 孝 新潟県立大学, 公私立大学の部局等, 学長 (30053698)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 代表制民主主義 / 直接民主主義 / 共同体制民主主義 / 手続き的民主主義 / 熟慮型民主主義 / 監視型民主主義 / 地球市民制民主主義 / 日本市民の不満と不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
古代ギリシャの直接民主主義を起源として、近代欧州の代表制民主主義で理論的な形態がほぼ完成した。民主主義自体は第二次世界大戦後にはじめて、政党や議会を軸に展開する代表制民主主義が欧米先進諸国で定着したといってよい。しかし、この代表制民主主義の様々な欠陥を補完・補充・代替するものが提案されてきた。直接民主主義(Budge, Barber), 共同体制民主主義(Putnam),手続き的民主主義(Rose), 監視制民主主義 (Keane), 世界市民制民主主義(Held ) などである。本研究目的は各主要テクストの鍵概念について市民がどのように考えているかの世論調査を行い、市民の選好分布を浮きだたせ、民主主義の今日的状況を理論的に実証的に分析することである。日本で行う多元的民主主義の世論調査に加えて、インドネシア、マレイシアでの世論調査を実施した。インドネシアと日本の世論調査はMonkey Survey による小規模(ジャカルタと東京に限定)の世論調査、マレイシアと日本の世論調査は全国規模のものである。マレイシアと日本の世論調査は国際イスラム教大学(マレイシア)と新潟県立大学の共同研究で、質問表を統一しておこなった。インドネシア、マレイシア、日本の世論調査は、社会制度に対する市民の信頼を軸にしたものである。これは具体的に社会制度に対する信頼に絞って、多元的民主主義の地理的歴史的文化的な態様を比較分析するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な分析は代表制民主主義の欠陥を補完・補充・立替する様々な提案の鍵概念を軸にした世論調査の分析は日本政治学会2014年度年次大会で報告した。具体的な民主主義の働きをインドネシア、マレイシア、日本で、社会制度に対する信頼の世論調査を2015年、2016年に実施した。新潟県立大学が主催したアセアン-日本シンポジウム(2015年1月、10月、2016年4月開催)でその分析を報告した。さらに、2016年10月に、新潟県立大学・実証政治学研究センター主催の会議で、多元的民主主義についての学術会議を開催し、最終的には学術書・学術論文として刊行する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実施計画 2016年度後半に学術会議を開催、多元的民主主義についての論文の報告、それらを学術書、学術論文として刊行する。 (1)猪口孝・窪田悠一、代表制民主主義についての不満(日本)(2)猪口孝、社会制度に対する信頼比較分析(日本とマレイシア)(3)青井千由紀、安定化ミッションの民主主義的含意(4)窪田悠一、武器から鍬への移行にみる選好の分析(スリランカ)(5)阿古智子、人権派弁護士と法治(中国)
|
Causes of Carryover |
次年度に会議を開催するため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
会議の開催、会議で提出された論文をとりまとめ、校正後、Japanese Journal of Political Scienceに掲載する。
|
Remarks |
情報収集のためISA(International studies Association)Annual convention Atlanta2016(March16-19,2016)に参加した。パネルセッションの司会を務めた。
|