2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26285038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 真 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90301861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 敏夫 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10239577)
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20329022)
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70260742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 主権認識 / 中国外交 / 外交史と外交研究 / 領土と国益 / 内政不干渉原則 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中国の主権にまつわる「言説」や「交渉」に関する史料の閲覧、収集について、代表者の川島中心に、国内では東洋文庫、東京大学東洋文化研究所、京都大学人文科学研究所、外務省外交史料館、国外では、台湾の中央研究院近代研究所、国史館、国家図書館、中国の上海市档案館、第二歴史档案館、スタンフォード大学等でおこなった。史料収集は順調に進んでおり、第二年度にはおおむね終える見込みである。また、岡本隆司は『宗主権の世界史――東西アジアの近代と翻訳概念』などで中国における「領土」 概念や主権をめぐる「言説」の枠組みを提示し、茂木敏夫は「中華世界秩序論の新段階」や「近代以降の東アジアにおける地域秩序の変容と中国」で19世紀後半からの20世紀前半にかけての「交渉」について詳らかにし、川島真が『近代中国をめぐる国際政治』などで二十一箇条要求を主権問題として分析したほか、青山瑠妙はパブリックディプロマシーの観点から人民中国期中国の「言説」「交渉」をとらえるなど、各々の担当に沿って着実に成果をあげている。研究会としては、東アジア国際関係史研究会を3度にわたって開催した。第8回研究会(2014年6月10日)は座談会形式で、「日中の歴史認識と教科書問題をめぐって」と題し、歩平(中国社会科学院近代史研究所研究員、前所長)、三谷博(東京大学大学院総合文化研究科教授)に加え、川島真司会のもと行った。第9回研究会(10月28日)は張志雲(上海交通大学研究員)「中國海關的多樣性與中國近現代史的發展」、第10回研究会(2015年1月20日)は廖敏淑(國立政治大學歴史學系助理教授)「清朝の対外体制」として開催し、中国の主権にまつわる本研究課題について本科研メンバーを超えて共有し、議論を展開した。所期の目標はおおむね達成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にのっとり、史料収集、研究会開催等を行ったほか、すでにいくつかの研究成果があり、それをもとに次年度は研究がより進展すると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
第一年度の成果を踏まえ、引き続き資料収集と分析を継続しておこなう。第二年度はワークショップを開催するほか、年度末には「主権」にまつわる「言説」に関する研究をいったんとりまとめ、第三年度にはシンポジウムを開催し、「交渉」も含めて包括的な議論を展開できるようにする。科研終了後には論文集のかたちで、本科研の成果を出版する予定である。また、適宜研究会も開催し、科研メンバーを超えて議論の共有を図っていく。
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Causes of Carryover |
中国の档案館が文書公開を停止したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由から、当初予定していた資料収集が十分にはおこなえなかった。档案館の状況を見極めつつ、場合によっては研究計画を変更し対応していきたい。
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Research Products
(39 results)