2014 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖経済および開放経済の短期マクロ計量モデル選択に関する理論応用分析
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26285049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 元嗣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00252718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マクロ経済モデル / モデル選択 / DSGEモデル / インパルス応答関数 / 景気循環 / 確率トレンド / 非線形トレンド / 購買力平価 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は主に次の3つの分析で進展があった。1番目に研究計画の根幹となっている準限界尤度を用いたモデル選択の方法論の研究を進めた。準限界尤度による選択基準がマクロ経済モデル選択の一致性を持つための条件を詳しく調べた。特にDSGEモデルの構造母数に関して、(1)強識別の場合、(2)弱識別の場合、(3)部分識別の場合のそれぞれの条件が導出された。さらに、比較する候補モデルに関しては(1)入れ子型、(2)非入れ子型、(3)重複型の3つの場合の条件が導出された。また、モデルの特定化に関しては(1)2つのモデルで双方が真の場合(入れ子型の特殊形)、(2)片方が真の場合、(3)双方とも特定化の誤りがある場合のそれぞれについて条件を導出した。中央銀行が金利を操作する基本的な3方程式ニューケインジアンモデルから発生させたモンテカルロ実験データを用いて手法の有用性も確認した。 2番目にマクロモデル推定時の事前検定に関する方法論の研究成果があった。マクロ経済変数の共変動を引き起こす共通構造ショックの抽出に応用可能な、動学的因子モデルの共通因子の持続性の推定精度を高めるブートストラップ法を提案した。またマクロ経済変数の確率トレンド及び確定トレンド除去に関して、非線形を考慮した複数の方法を開発した。 3番目に実際にデータを用いたマクロ経済モデルの実証分析では、情報構造の異質性に着目したマクロモデルの有効性を個別財価格データから検討した。具体的には異なる地域の財価格差の調整速度が地域間の距離が離れているほど遅い現象を、需要ショックに関する情報の精度が地域間で異なる場合と整合的であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画はマクロモデル選択と推定に関する方法論と実証分析の2つに分けることができるが、両者ともにその研究成果が複数の学会で報告され、既に学会誌に採択が決まったものもある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究はおおむね順調に進捗しており、現段階で計画遂行上の問題点はない。今年度以降も計画に沿って研究を進める予定である。
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Research Products
(13 results)