2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26285053
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 哲二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90183029)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00361577)
下津 克己 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50547510)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 産業政策 / 経済史 / 産業組織 / 計量経済学 / マイクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の中心的な研究活動は、1980年代~90年代に通商産業省が当時、過剰設備問題に直面していた構造不況産業に対して実施した産業政策、すなわち産業調整政策についてマイクロデータに基づく分析と評価を行ったことである。過剰設備は当時の日本だけでなく、現在の中国、韓国等で深刻な問題となっており、その解決が喫緊の課題とされている。日本のセメント産業のマイクロデータを用いて、政策介入の方法、政策介入の必要性の有無、政策目的の達成度、マイナスの副作用の有無を、経済史、産業組織論、計量経済学の手法を用いて厳密に評価した。過剰設備の維持・廃棄の決定に関して企業の間で戦略的相互依存関係が存在したため政策介入の必要性があったこと、政策介入の結果過剰設備が解消されたこと、一方でマージン率の上昇といったマイナスの副作用は見られなかったこと等が明らかになった。この結果は論文にまとめて国際学術誌に投稿中となっている。また本研究はSingapore Management Universityの研究者、東京大学の研究者と行った国際共同研究である。一方、昨年度までの研究成果が国際学術誌に掲載されている。その1つは、WTOの内外無差別の原則に基づいて行われた1996年の酒税改正の経済効果に関する論文である。この年、WTOは日本の焼酎が他の蒸留酒と密接な代替財であるとして、税制上同等に扱うことを日本政府に勧告、日本政府はこれに基づいて蒸留酒全体に対する酒税の税率を同一水準に修正した。蒸留酒の種類に応じて最適税率が異なり、したがってWTOの勧告が必ずしも適切なものではなかったこと、しかし一方でこの税率改正は、全体として経済厚生にプラスの効果を持ったことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに複数の論文が国際学術誌に掲載ないし掲載決定となっているほか、投稿中の論文も複数ある。またそれらの論文で明らかにされた知見はいずれも産業政策の役割を理解、評価するうえで有意義なものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本プロジェクトの最終年度に当たるため、現在までに行ってきた研究の成果を国際学術誌に公刊すべく引き続き努力する。
|
Causes of Carryover |
次年度は最終年度に当たることから、研究成果の発表のための旅費、論文の英文校正費用等を多めに用意する必要があるため。
|
Research Products
(10 results)