2015 Fiscal Year Annual Research Report
世界における経済活動の都市集積に関する空間経済分析
Project/Area Number |
26285054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田渕 隆俊 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70133014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝明 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (30262091)
井堀 利宏 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40145652)
藤田 昌久 甲南大学, 学長直属, 特別客員教授 (90281112)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 空間経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き、新経済地理学と新貿易理論の研究を行った。独占的競争市場の一般均衡分析に加えて、寡占的競争の部分均衡分析も行い、理論の再構築を図った。具体的には、複数の財を生産する企業を導入することによって、企業がどの程度多様な財を供給するかについての部分均衡モデルを構築した。さらに、企業の生産性が異質であることを仮定し、輸出する企業と国内企業との選択について多角的に分析を行った。特に、貿易費用の低減が参入する企業の数、供給する財の数、各国の経済厚生に与える影響について分析し、自国市場効果や立地優位性の効果について分析した。 また、生産技術の進歩が空間的が外部経済を通じて地域経済活動にどのような影響を与えるかについてモデル分析を行った。その際、労働者の労働時間の供給を内生化することによって、従来得られなかった知見をいくつか得ることができた。また、一人当たり所得や経済厚生の地域間格差に着目し、実証分析を通じて社会的に望ましい地域経済のあり方について考察した。 また、利他的な経済行動と流動性制約を組み込んだ教育投資モデルの理論分析を行った。経済主体を親と子に分けて、望ましい教育投資が行われているか否かについて、日本のデータを用いて実証分析を行った。 また、景観の経済的価値を住宅立地のモデルに組み込むことによって、住宅の規模と地代が景観にいかに左右されるかについて、理論的に分析した。複数均衡や非対称性などの経済学的諸問題についても分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この一年間のあいだに、本プロジェクトに密接に関連した学術論文を公表し、それらを海外の国際会議や国内の学会、研究会で報告し、多角的な議論を重ねた。また、研究分担者と頻繁に研究情報の交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで行ってきた一連の研究を継続して遂行する。 大都市内部の空間構造については、継続して分析を遂行するとともに、 空間経済理論と他分野との融合を試みる。その際、効率性や公平性の観点から大都市の直面している諸問題について、一都市における社会厚生だけでなく、グローバルな都市ネットワークシステムにおける社会厚生の視点からの社会厚生分析を行う。 技術進歩による地域経済の発展に関しては、空間経済学の最新の理論を駆使して、独占的競争市場の一般均衡分析を行うとともに、寡占市場の部分均衡分析を行い、イノベーションや経済発展に関する経済理論を構築する。さらに、都市内部の空間構造を土地利用と地価の観点から分析したり、新経済地理学と地方選挙における情報集約理論を融合させる。また、都市における起業、多様な多国籍企業、外部性のある地域公共財などが果たす役割について多角的に分析する。
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Causes of Carryover |
招聘する予定であった教授の本務が多忙になったため来日できなくなり、旅費の一部を使用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究と研究報告のための旅費に充てる予定である。
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Research Products
(14 results)