2015 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the growth of high-tech start-ups: Emprical evidence from the perspective of technology and governance
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26285060
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
本庄 裕司 中央大学, 商学部, 教授 (00328030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 宏一郎 大阪工業大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60446581)
沈 政郁 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (70706499)
羽田 尚子 中央大学, 商学部, 准教授 (80384022)
加藤 雅俊 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (80507707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アントレプレナーシップ / イノベーション / スタートアップ / 技術 / ガバナンス / 成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,前年度に引き続きデータセットの作成に取り組んだ.まず,すでに作成した「企業データ」をもとに,企業名,代表者名,住所を用いて特許データベースとのマッチング作業を行い,本研究での「特許データ」を作成した.ここでは,企業名による特許申請だけでなく,代表者名による特許申請も含めてマッチングを行っている.その後,作成した「特許データ」と「企業データ」との接続作業を行い,各企業に特許申請に関する情報を付加する形であらためて「企業データ」を作成した.これによって特許申請を代理変数とするハイテクスタートアップの特定,また,技術の視点からスタートアップ企業の人的資本の測定が可能となった.この点は本研究のデータセットの特徴の1つである.このデータセットをもとに本研究の研究成果につなげていきたいと考えている. ただし,後述するとおり,「財務データ」と「ガバナンスデータ」の選定および入手に遅れが生じたことから,これを代替するために研究代表者および研究分担者それぞれがすでに作成したデータセットを用い,当該研究課題に関連する分析をいくつか試みた.まず,(技術以外の)教育や年齢といった人的資本がスタートアップ企業のその後の存続や退出に与える影響を分析し,とくに,人的資本がハイテクやローテクといった分野に対し,また,倒産,自主廃業,被合併といった異なる退出形態に対し,どのように影響するかを分析した.その結果,教育はハイテク分野でスタートアップ企業の倒産に負の影響を与えることを明らかにした.さらに,資本構成に注目してスタートアップ企業の資本構成がその後にどのように変遷しているか,加えて,バイオテクノロジーといったハイテク分野におけるベンチャーキャピタルのスタートアップ企業への影響を明らかにした.こうした研究成果を踏まえがら,次年度に向けてさらなる研究成果をめざしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述したとおり,平成27年度では,「企業データ」と「特許データ」との接続を行い,企業名および代表者名による特許申請に関する情報を付加する形であらためて「企業データ」を作成した.その一方で,「財務データ」と「ガバナンスデータ」の入手が大幅に遅れることとなった.その原因として,まず,「ガバナンスデータ」については,当初予定していた信用調査会社の提供する文字情報ファイルでは,本研究の予算内で過去のガバナンスに関する情報を精緻にとらえることが困難なことが判明したためである.また,信用調査会社の提供する企業情報ファイルと比較して,財務情報ファイルの補填率が低く,加えて,財務情報の単価が相対的に高いことから,財務情報ファイルを入手する前に対象企業を十分に絞り込む必要が生じたことも研究の遅延につながっている. まず,「ガバナンスデータ」については,すでに前年度に作成した「企業データ」に含まれるガバナンスに関する情報で代替し,これをもとに検証することとした.つぎに,「財務データ」については,財務諸表にかかる予算を考慮したうえで,事前に対象企業の絞り込みを検討した.ここでは,本研究の研究対象がスタートアップ企業であること,また,設立後の変化を検証したいことから,設立1年目および2年目の財務諸表を有する企業を優先的に選定することとした.こうしたデータベースの選定作業の見直しに多くの時間を要したことが進捗の遅れとなったおもな原因である. なお,進捗の遅れを早急に取り戻すために,平成27年度中に「財務データ」を入手する対象企業を事前に十分に絞り込み,次年度早い時点で財務情報ファイルを入手して「財務データ」の作成および「企業データ」の接続作業にとりかかれられるようにしたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の作業について,まず,平成27年度に完了できなかった「財務データ」の作成を行うために,次年度の早い時点で財務情報ファイルを入手し,「財務データ」の作成にとりかかる.その後,すでに「特許データ」を付加した「企業データ」と「財務データ」とを接続し,最終的な本研究のデータセットの完成をめざす. こうして得られたデータセットをもとに,人的資本および技術,財務およびガバナンスの視点から,スタートアップ企業のパフォーマンスを検証する.パフォーマンスについては,「企業データ」で識別した退出年月および退出形態の情報を用いて,設立後の存続およびその期間でとらえることとしている.まず,人的資本については,代表者の教育,年齢,性別だけでなく,「特許データ」との接続を通じて得られた特許に関する情報をもとに,設立前および設立後の特許申請を用いて代表者の技術経験および企業の保有技術がその後のパフォーマンスにどのように影響するかを分析する.また,財務については,スタートアップ企業の資本構成だけでなく,金融機関や取引先との関係にも注目し,こうした関係がスタートアップ企業の資金調達やパフォーマンスにどのように影響するかについて検証していく.とくに,スピンオフ型のスタートアップ企業に注目し,親企業の存在がこうした企業の資金調達にどのように影響するかについても検証していく.なお,この分析については,山田和郎准教授(長崎大学)に連携研究者として協力いただく予定である.さらに,ガバナンスの違いにもとづくスタートアップ企業の特徴を明らかにしていきたい. こうして得られた研究成果にもとづいて,次年度には,諸外国の研究者を招聘したうえでカンファレンスを開催する予定である.また,得られた成果については,まずはワーキングペーパーを作成し,続いてそれぞれの分野のジャーナル(学術雑誌)に投稿していく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度(平成27年度)では,「ガバナンスデータ」および「財務データ」の作成を予定していた.このうち「ガバナンスデータ」については,当初予定していた信用調査会社の文字情報ファイルでは,設立当初を含む過去のガバナンスに関する情報を十分にとらえることは難しく,結果として,文字情報ファイル以外の方法で代替的に「ガバナンスデータ」を作成することとした.そのため,文字情報ファイルの購入についての未使用額が発生した.一方,「財務データ」については,当初,今年度中に財務諸表ファイルを入手して作成する予定であったが,実際に件数を算出したところ,当初予定していた件数よりも大幅に少なく,十分なサンプルサイズを確保できないことが判明したために,データセットの再構成および検索条件の再検討の期間を必要とし,結果として,今年度中にデータを購入することができずにこの分につても未使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成28年度)では,今年度に予定してた「財務データ」を作成するために,あらためて財務情報ファイルの入手のための使用を計画している.また,「ガバナンスデータ」については,文字情報ファイルを入手せずに,すでに作成した「企業データ」で代用することから,この分についても(単価の高い)財務情報ファイルの入手のための使用を計画している.こうした使用計画にもとづいて,次年度では,財務情報ファイルの入手および「財務データ」の作成,さらには,「企業データ」との接続を行い,最終的な本研究のデータセットを完成したうえで本研究の研究成果につなげていきたいと考えている,
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Research Products
(7 results)