2015 Fiscal Year Annual Research Report
「アジア新興各国の経済成長を可能にした規制・制度:日本への教訓」
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26285062
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Research Institution | Asian Growth Research Institute |
Principal Investigator |
八田 達夫 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, その他 (70008647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戴 二彪 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, その他 (20300840)
E.D. Ramstetter 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, その他 (50213583)
岸本 千佳司 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, 研究員 (70334026)
韓 成一 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, 研究員 (80533512)
藤原 利久 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, その他 (90648065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制度・規制 / アジア新興国 / 港湾物流 / 高度人材 / 起業促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は,①「韓国の港湾物流政策と関連制度の研究-日本との比較-」,②「シンガポール・香港の高度人材受入れ制度の研究-日本との比較-」,③「台湾における起業促進制度の研究-日本との比較-」,など3つの制度研究(サブ研究テーマ)から構成され,平成26年からの三年間に並行して進められる予定である。平成27年度の主な研究内容は,①韓・日の港湾物流政策や港湾経営・雇用制度の形成過程及びこれらの制度による港湾物流への影響,②シンガポール・香港の高度人材受入れ戦略・関連制度の形成過程とその効果,③台湾における起業活動へのサポートインフラ・支援策の実態,および雇用制度・規制と雇用慣行が起業活動に与える影響,を詳しく考察することである。6名の研究メンバーは,研究計画に沿って調査研究を進めている。主な調査研究実績は次のように要約できる。 1.①物流研究チームは,韓国を6回訪問し,関連研究機関・政府機関・釜山港などで聞き取り調査を行った。②人材研究チームは,シンガポール・香港および隣接する中国を計4回訪問し,政府機関・研究機関・移民仲介企業での聞き取り調査を行った。③起業研究チームは,台湾を3回訪問し,資料収集とインタビュー・交流を行った。 2.物流研究チームは,2015年8月に日韓両国の研究者を招聘し,「韓国と日本の港湾政策研究会」を開催した。起業研究チームは,2月に国立台湾大学・台湾政治大学の研究者と法務専門家を招聘し,「台湾の退職金制度と労働移動に関する研究会」を開催した。人材研究チームは, 11月に当研究所で中国復旦大学公共政策学院との共同研究会「アジアの都市発展」を開催した。 3.各研究メンバーは,調査・分析に基づいて多数のWorking Paperを作成し,上述した研究会を含む国内外の複数の学会で報告した。その内,13本の論文(内:査読付き論文3本)が学術誌などに刊行されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究プロジェクトの6名の研究メンバーは,韓・中・日・米の国籍を持つアジア経済・経営・物流問題の専門家である。25年以上に渡り構築された当研究所(AGI)の国際交流ネットワークと各メンバーのそれぞれの現地協力研究者のサポートより,韓国・台湾・シンガポール・香港およびこれらの研究対象地域に隣接する関係国(中国・マレーシア)や日本での現地調査・研究交流は計画通りに行われた。また,こうした充実な調査・交流によって,各メンバーのWorking Paper作成・研究会発表・学術誌への投稿など諸活動も順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
これからの1年間(最終年度)に,引き続き研究計画に基づいて,3つの制度研究(サブ研究テーマ)を並行して推進していく予定である。現地調査とプロジェクト研究会を通じて,特に各国の関連制度の実施過程における問題点と実施後の総合効果についてさらに考察・分析する。そして,各国の関連制度の推移と改革の背景,現状,およびその問題点と総合効果を正確に把握したうえ,日本との比較研究を行い,それぞれの制度・規制のメリット・デメリットおよび日本への導入可能性を検討する。この最終年度では,影響力のより高い国際査読誌での論文公表を目指すとともに,最終研究報告書をまとめ,シンポジュームの開催などを通じて研究成果の社会還元も一層重視する。
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Causes of Carryover |
一部の研究協力者への論文執筆謝礼について支払が次年度へ繰り越しとなった為。 また,開催を予定していた研究セミナーが,招聘を予定していたメインの講師の都合により延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究論文の執筆依頼をしている研究協力者に完成論文に対する謝礼の支払い。 前年度より延期となっている研究セミナーを開催。
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