2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26285069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江上 雅彦 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40467395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 克俊 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80455708)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 構造変化 / 相関係数 / 最適ポートフォリオ / クレジットリスク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画のうち、まず「構造変化を考慮した効率的株式運用手法の分析」に関する研究を行った。マルコフ連鎖モデルを使い、景気変動によるレジーム(reversible)と構造変化によるレジーム(irreversible)を実際のデータにフィットさせて、景気変動の時期と構造変化が起こった時点を推計した。次にこれらの情報を持つ投資家が、いかにして投資効率を改善できるかという点について研究を行った。具体的には、シミュレーションにより景気変動と構造変化を生起させたうえで、その変動を検出しそれぞれのレジームで最適なポートフォリオを組成しパフォーマンスを計測した。この場合、必ずしも構造変化を含むモデルが高いパフォーマンスを約束するものでないことを確認した。これはパラメータが多いため推計の正確性の問題に加えて、検出点を起点として(新しいレジームでの最適運用のために)分散共分散行列を推計しなおす際のタイムラグが運用効率にマイナスの影響を及ぼしているためであると考えられる。現在はこの事実を前提としたうえで最適な運用戦略の提言とこのタイムラグから生じるロスを最小にする方法について研究を重ねている。 クレジット市場においてのデフォルト相関の研究を開始した。相関に変化を与えるようなショックを一時的なものととらえず、ショックがある程度の期間にわたって持続することから相関が高まる可能性を検証するモデルを構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造変化の存在を踏まえた市場環境において、投資効率の改善の研究のために必要なシミュレーションコード等のプラットフォームを確立できた。今後このプラットフォームを基盤にして研究を進めていける点を考慮すれば順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は投資効率に関する研究を論文にまとめ、今年度中に投稿することを目標とする。あわせてクレジットマーケットに関する上述の研究および、それらの研究の基礎となるマルコフ過程の研究を継続する。 構造変化を検出しても即座に運用パフォーマンスが向上するとは限らないため、構造変化を認識した後、どの時点で(構造変化後のマーケットに対応した)投資戦略に転換すれば、より効率的な運用を実現できるかという問題の理論的に解法の研究を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、米国株式市場の収益率に関する構造変化の研究に注力し、投資信託やヘッジファンドといった投資運用体のパフォーマンスに関するデータ(ファンドデータベース)は必要でなかったため、その購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降はファンドデータベース、あるいはその他研究の推移に応じて必要なデータベースを購入する予定である。
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