2014 Fiscal Year Annual Research Report
銀行融資と不動産価格の内生的関係のマイクロデータによる分析
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26285072
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
小滝 一彦 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員(非常勤) (60314431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 和孝 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (80379106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資産価格決定要因 / 不動産担保融資 / 信用創造 / 不動産売買価格・融資金額マッチングデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、Kurashima, Mizunaga, Odaki and Watanabe (2013)において構築した土地取引のマイクロデータを拡充し、このデータを用いて不動産融資(LTV)が不動産価格に及ぼす影響をより高度に分析した。土地取引のマイクロデータは、1985年から最新時点に至る東京都23区内の土地売買に関し、①不動産売買成約データ、②設定抵当権データ、③金融機関データ、の3つを各取引レコードにマッチングさせて構築した。 ①不動産売買成約データとして収集する変数は、売買年月日、売買価格、物件の住所と地番、売り手の属性、買い手の属性、道路付け(共有私道の有無等)、用途地域、最寄り駅名、駅からの距離、容積率等である。データの構築に当たっては、この情報は通常はアクセスが困難であるが、本研究においては研究協力者(水永)の保有する売買成約価格データを用いた。 ②担保データとして収集する変数は、 売買年月日、設定抵当額、抵当の種類(根抵当ダミー、共同担保ダミー)、融資金融機関名、借り手情報(法人、個人、金融機関関連企業等)、抵当権実行状況(完済、売却、競売等)である。データの構築にあたっては、不動産売買成約データの物件の登記簿甲欄乙欄の記録を用いる。また、住宅公庫(住宅機構)への債権譲渡についても変数を作成した。 このデータを用い、不動産取引価格(区・年平均調整済み)を、銀行融資(LTV)で回帰した。内生性を除去するために、根抵当ダミーと、共同抵当ダミーを用いた操作変数を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、土地取引のマイクロデータを拡充し、このデータを用いて不動産融資(LTV)が不動産価格に及ぼす影響をより高度に分析した。上述のように構築したデータにより、不動産担保融資LTVが大きいほど、不動産価格が高くなる現象を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、土地取引のマイクロデータ分析を発展させつつ、これとは別に、分譲マンションの中古取引のマイクロデータの構築及び分析を行う。中古マンションの取引は、サンプル数が非常に多く確保できるほか、新築分譲時に比べれば売買時のローンの設定も多様である。とりわけ重要な利点は、同一マンション内の各物件は、同一の敷地と同一の躯体を共有しており、また、その他の属性である階数、床面積、方角等の価格への影響は容易にコントロールできるため、Case and Shillerによるリピートセールス法と同等以上の品質コントロールが可能である。小滝・水永(2007)でCase and Shillerを改善して確立されたマンション価格のへドニック分析の手法を用いることで、異なる年の異なる物件の取引であっても、マンション名をコントロールすることで、不動産売買価格の比較を行うことができる。これによって、Kurashima, Mizunaga, Odaki and Watanabe (2013)ではできなかった不動産融資の全般的水準の変動が不動産価格に及ぼす時系列的な影響も分析することが可能となる。
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Causes of Carryover |
PC、ソフトウェア、データ、資料について、急ぎ必要でないものの購入を先送りしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不動産と銀行融資の特徴的な変動が観察される地域でのヒアリングと、マンションデータの構築のため、27年度は使用額が増加する予定である。
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Research Products
(3 results)