2014 Fiscal Year Annual Research Report
ビジネス・エコシステムの動作メカニズムの解明と設計・制御法の開発のための研究
Project/Area Number |
26285079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻本 将晴 東京工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (60376499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
梶川 裕矢 東京工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (70401148)
藤村 修三 東京工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (90377044)
玄場 公規 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (80313039)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エコシステム / ビジネスエコシステム / プラットフォーム / マルチアクター / 新制度論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本プロジェクトにおいて顕著な実績が上がったと考えている.具体的には次の2点である.第一に4つの国際学会発表論文がアクセプトされたことである.第二にインパクトファクターの高い国際学会誌である,Technological Forecasting and Social Changeにおいて本プロジェクトの推進する研究内容(エコシステム研究)の特集号を組むことになり,研究代表者がそのGuest Editorに招待されたことである. 第一の実績について概要を記載する.本プロジェクトの理論研究パートに該当する成果として,トップジャーナルに掲載されているエコシステム研究90本の論文をレビューしたレビューペーパーがthe Portland International Conference on Management of Engineering and Technologyに採択された.次に定量分析パートに該当する研究2本(Wiiプラットフォームに関する研究とAPIエコシステムに関する研究)がそれぞれPICMETとR&D Management Conferenceに採択された.特にAPIエコシステムに関する論文はBest PaperのCandidateになっており,発表者は奨学金を学会から得て参加できることになった.さらに,FeliCaプラットフォームに関する研究が同様にR&D Management Conferenceに採択された. 第二の実績については,TFSCにおいてInnovation Ecosystems: Theory, Evidence, Practice, and ImplicationsとしてCall for Papersが公開されている. 今後はさらなる研究成果の発表とともに国際的に流通するように英文書籍として研究成果公表も進めていく計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトは今年度開始されたプロジェクトである.本研究はBESの理論的検討と,定量・定性両面からの分析法の検討と具体的事象への適用を通じてBESの動作メカニズムの解明を試み,BESの設計・制御法を開発することを目的としている. その目的と照らし合わせてみて,次の3点で当初の計画以上の進展が見られたと自己評価している.第一に,理論的検討について,トップジャーナルに掲載されているエコシステム研究90本の論文をレビューしたレビューペーパーの執筆が完了し,国際学会にアクセプトされたことである.このようなレビューには膨大な時間と労力がかかるため,時間が必要と考えていたが,集中的な研究によってその取りまとめに成功した.特に今年度は前倒しで予算を使用し,ハンブルグ工科大学との共同研究の機会を得た.その結果として,研究の進展速度が上昇したと考えている. 第二に,定量研究分野でゲーム機に関する研究とAPIエコシステムに関する研究において独自のデータに基づく分析をまとめたことである.スマートフォンと電子書籍を対象に研究を進めていたが,その中でゲームに関する研究とAPIに関する研究が取りまとめに成功した.具体的な対象に関する定量的な分析は実績として有意義でありインパクトも大きいと考えている. 第三に,定性研究分野でFeliCaに関する研究のとりまとめが終了した.自動運転,スマートメーター,電子カルテについては依然として調査中であるが,その中の構成要素の一つである非接触ICカードに焦点を絞った定性研究を取りまとめることに成功した. 現段階ではハンブルグ工科大学と直接的な共同研究の実施にまでは至っていないが,共同研究の計画は進行している.具体的には今年度中にハンブルク工科大学のハシュタット教授,ティワリ講師との共同研究をまとめる予定である.追加対象としてレンタカーに関する研究を侍史予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の3点である.第一に,計画に記載されている対象の研究を進展させ,成果としてまとめていくことである.第二に,設計・制御法に関する研究を進展させることである.第三に,国際的な成果発表をさらに進展させ,英文書籍としても出版を志すことでより広く認知されるようにすることである. 第一の点について,現在公表されていっている成果に加えて,電子書籍,自動運転,スマートメーター,電子カルテについても調査研究を進展させている.これらの蓄積をとりまとめて国内外の学会に発表していくことを加速していく. 第二について,理論研究,定性・定量研究の実績は出ているが,設計・制御法という計画書に記載された領域の研究成果が明示的には出ていない.理論研究に関する論文やFeliCaに関する論文の中で設計・制御の基本的なアイデアを記載し,レビュアの意見を求めているところであるが,さらなる改良が必要である.その意味では,実務でエコシステム戦略に関心を持ち,実際に取り組んでいる企業との連携によって,分析や設計・制御に取り組んでいくという試みも今後必要となってくると考えている. 第三に,アカデミックジャーナルとしての成果発表に加えて,国内外での招待講演や英文書籍によるアカデミック以外も含めた成果の発信にも取り組んでいく必要がある.具体的には企業での講演や海外出版社からの企画提案といった機会も得られているので,そういった機会を利用してより広い範囲に成果を発信し,その評価を求めていく必要があると考えている. さらに,実社会に対してアクションリサーチ的に関与を行い,分析の蓄積とアイデアがどの程度インパクトがあるのか,事態の改善に役立つのかについても多様な機会を利用して取り組んでいきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
共同研究者との予定された打ち合わせが1回キャンセル(研究代表者の海外出張のため)になったことにより旅費が未使用となっている。今年度は研究代表者との打ち合わせを実施可能であり、予算使用予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究者との打ち合わせにともなう旅費として使用予定。
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Research Products
(5 results)