2015 Fiscal Year Annual Research Report
ビジネス・エコシステムの動作メカニズムの解明と設計・制御法の開発のための研究
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26285079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻本 将晴 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (60376499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
梶川 裕矢 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (70401148)
玄場 公規 法政大学, その他の研究科, 教授 (80313039)
藤村 修三 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (90377044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エコシステム / ビジネスエコシステム / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は理論研究、定量研究、定性研究のそれぞれの部門において、フルペーパー査読を経て国際学会での発表を行った。 理論研究部門では、エコシステム研究におけるトップジャーナルに掲載された90本の学術論文をレビューし、4つの理論的流れを明らかにするとともに、独自の定義、リサーチマップ、分析プロセス、エコシステム設計に向けた提案を含む学術論文を作成した。この結果をPICMETで発表するとともに、TFSCに投稿し、査読中である。 定量研究部門では、ゲームプラットフォームエコシステムとAPIエコシステムに関する分析を行い、それぞれPICMET、R&D Managementで発表した。これらもTFSCに投稿し、査読中である。 定性研究部門では、非接触ICエコシステムに関する分析を行い、R&D Managementで発表した。会議で知り合ったEMLyonおよびCambridge大学の教授と相談し、共著論文としてトップジャーナル掲載を目指して原稿を作成中である。さらに、上記の教授らと共同で書籍が出版予定であり、現在作成が進行している。2冊目の書籍についても出版社との合意が形成され、構成を検討中である。さらに、定性研究部門における非接触ICエコシステム研究が2016年7月に開催されるR&D Managementでの発表に採択されている。 設計部門における研究成果はレビュー論文内での一部の記述にとどまっているが、今後さらに拡張していく。 TFSCでエコシステム研究に関する特集号が企画され、代表者もゲストエディターとして招かれている。多数の研究論文が世界各国の有力なスクールから投稿されており、この研究テーマに対する関心の高さがうかがえる。今後は国際的な研究者ネットワークをさらに拡張し、より一層の研究の進展を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに4回の国際学会発表を行っており、そのうち3つの論文をトップジャーナルの一つであるTFSCに投稿した。残り一つの論文は次年度の国際学会発表などと内容的に統合して、トップジャーナルであるResearchPolicyに投稿予定である。同時に日本語によるジャーナル執筆も進めている。 学術論文のみならず学術的書籍の出版も企画しており、1冊はすでに原稿がほぼ完成している。これは国際的にエコシステムの研究者が分担して書籍を出版するものであり、今後の研究者ネットワークの拡張につながっていくものと考えている。さらに2冊目の企画も進展している。国内学会においても1件の発表を行っている。 これらの論文を本研究計画における各部門にあてはめると、理論研究部門1本、定量研究部門2本、定性研究部門2本となる。 内容面では、予定した対象でまだ成果の公表にいたっていないものもある。具体的には電子書籍、スマートメーター、自動運転、電子カルテである。一方で、追加されたカテゴリもある。ゲーム機、非接触ICである。現在、スマートメーター、自動運転については研究が進展しており、電子カルテについても医療情報システムとしてのエコシステムの研究に取り掛かっている。電子書籍については当初の計画どおりに研究が進展していない。これはデータの取得に問題があることがわかったからである。その解決策はまだ見つかっていないが、電子書籍についての出版状況や販売状況のデータが入手できれば分析が進展すると考えている。 以上より、継続的に成果発表が行われていることから、計画通りにおおむね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は学会発表のみならず、査読論文の出版につなげていくことに重点を置く。特にすでに投稿されている4本に加えて、Research Policyに海外の研究者との共著により論文を投稿、出版することを目指す。 学会発表、論文出版につなげていくことができる可能性があるテーマがスマートフォンエコシステム(特にリチウムイオンバッテリーを中心としたエコシステム)、自動運転、スマートメーターから拡張して、再生可能エネルギー由来のエネルギーマネジメントシステムにおけるエコシステム、医療情報システムのエコシステム、のそれぞれにおいて進展している。順次、国際・国内学会発表、国際・国内学術論文、そしてそれらをまとめた日本語・英語書籍の出版へとつなげていく。 現時点の最大の課題は、研究プロジェクトにおける設計部門の研究である。レビュー論文内でエコシステム設計についての考え方をDSM(Design Structure Matrix)を援用して考察したものの、具体的な設計プロセスの提案には至っていない。工学的設計理論によるアプローチでの検討を行ってきたがエコシステムの対象の中に人工物のみならず人間による意思決定と行動が含まれているため、意思決定理論や行動心理学、社会学の知見も用いた検討が必要となる。さらにはその実例に対する適用による検証も必要である。これらの課題に対しても次年度は取り組みを進める必要がある。
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Causes of Carryover |
予定していた書籍購入が行われなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入書籍を再検討のうえ、書籍購入を行う予定。
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Research Products
(11 results)