2016 Fiscal Year Annual Research Report
ビジネス・エコシステムの動作メカニズムの解明と設計・制御法の開発のための研究
Project/Area Number |
26285079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻本 将晴 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (60376499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
梶川 裕矢 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70401148)
玄場 公規 法政大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (80313039)
藤村 修三 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90377044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビジネス・エコシステム / アクターネットワーク / 社会ネットワーク / ステークホルダーネットワーク / イベントシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
ビジネス・エコシステム(以下BES)という概念が学術,政策,企業実務の全てにおいて広く取り上げられ,探求されている.実際に,BES概念を基盤とした施策が日本を含む各国の政府や企業によって実行されている.その背景には,インフラ輸出,電力システムの変革,医療の電子化,スマートフォンや電子書籍の普及といった,BES概念との適合性が高い,複雑なステークホルダーネットワークの影響を強く受ける事象への関心の高まりがある.一方で,BESの基盤となる理論,分析法,動作メカニズム,設計・制御法に関する議論は学術的に十分に合意されたとはいえない.そこで本研究はBESの理論的検討と,定量・定性両面からの分析法の検討と具体的事象への適用を通じてBESの動作メカニズムの解明を試み,BESの設計・制御法を開発することを目的としている. 具体的な研究アプローチは4つの部門から成る.それぞれについて研究実績の概要をまとめる.第一に理論研究部分では,エコシステム研究に関するレビュー論文を執筆し,国際学術誌のトップジャーナルの一つであるtechnological Forecasting and Social Change誌で査読プロセスの第二ラウンドにある.定量研究部門では,TFSC誌および同様にトップジャーナルの一つであるInternational Journal of Innovation Management誌に2本の査読付き論文がアクセプトされている.定性研究部門では査読付き国際学会1本と神戸大学ワーキングペーパーに1本の論文が発表されている.最後に,設計・評価部門ではまだ公開された成果は出ていないが,継続的に研究を継続している. 追加的に,本研究プロジェクトの実務家アドバイザリである日立コンサルティングとの共同研究にも発展し,さらなる進展に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの研究アプローチごとに現在までの進捗状況を記載する. 理論研究部門ではエコシステム研究に関するレビュー論文を執筆し,国際学術誌のトップジャーナルの一つであるtechnological Forecasting and Social Change誌で査読プロセスの第二ラウンドにある.この論文は,本研究プロジェクトの基盤となる成果であり,その公開に全力を尽くす.その上で,理論研究としてはさらなる発展および設計・評価法との融合が必要と考えており,次の論文執筆に繋げていく予定である. 定量研究部門では,TFSC誌および同様にトップジャーナルの一つであるInternational Journal of Innovation Management誌に2本の査読付き論文がアクセプトされている.さらに,多様な関係性に関するデータ整備が進展しており,これが完了すれば本研究プロジェクトが対象とするエコシステムの分析が大きく進展することが期待できる. 定性研究部門では,引き続き情報の収集,インフォーマントネットワークの拡大に努めている.成果としては,R&D Management Conference 2016において1本の査読付き学会発表を行なっており今後は定量研究と定性研究を融合させた形での査読付き論文として取りまとめていく予定である. 設計・評価部門ではまだ公開可能な成果の産出に至っていないが,継続的に取り組みは続けている. 追加的に,R&D Management Conferenceにおいてエコシステム研究者で集まり,Emerald社からの書籍出版を企画した.これはすでに出版直前段階まで進展している.また波及的に,実務家アドバイザリグループからの共同研究依頼にもつながるなど,発展がみられる.以上より,自己点検による評価は「概ね順調に進展している」としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
4つの研究アプローチごとに今後の研究の推進方策を記載する.理論研究部門ではレビュー論文を土台としたさらなる理論的考察の発展および設計・評価法との融合が必要と考えており,それらに関する次の論文執筆に繋げていく予定である. 定量研究部門では,多くの対象に用いることができるデータベースの整備とその構築法の検討を進めており,その完成によって本研究が予定した対象の分析が大きく進展することが期待できる.定性研究部門でも同様にデータの収集とインフォーマントネットワークの拡大,充実に努めている.今後は,定量,定性の研究対象を統合して,両アプローチを補完的に用いた研究成果の算出と発表を試みていく予定である. 設計・評価部門ではまだ公開可能な成果の産出に至っていないが,公理的設計論,機能・構造・プロセスアプローチによる設計・評価を引き続き試みる.エコシステム研究は分析のみならず評価や提案,再設計にまで踏み込むことが必要と考えており,これは今後の重点的な課題と想定している.
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Causes of Carryover |
購入予定ソフトウェアを他の経費で支出したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍などデータ取得費として用いる
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Research Products
(12 results)