2015 Fiscal Year Annual Research Report
動態的な環境変化への組織適応を促す人材マネジメント:東アジア企業の実証的研究
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26285091
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 規彦 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (40387569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 有希 立命館大学, 経営学部, 准教授 (00468828)
竹内 倫和 学習院大学, 経済学部, 教授 (20418982)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、企業を取り巻く外部の競争環境の変化に対して、(1)組織が「人材(human resources)」を通じて、いかに「柔軟性 」(flexibility: 外部環境に対して動態的に適合する能力)を組み込み、組織の競争優位に繋げているかについて、(2)東アジア主要各国(日本・韓国・中国)の企業及び従業員を対象とし、(3)4年間にわたる時系列縦断的調査による精緻な方法から調査・研究を実施し詳細に検討することを目的としている。 前年度に引き続き、本研究の推進体制として、企業の柔軟性に関する分析レベルの違いから、(1)「マクロレベルでの柔軟性の獲得メカニズム 」と(2)「ミクロレベルでの柔軟性の獲得メカニズム」の2つの領域に大別し、メンバーの専門や得意領域を考慮した役割分担に沿って研究を進めた。 平成27年度の主な研究実績は以下の5点である。具体的には、(1)既に仮説モデルとして設定した組織レベル・個人レベルでの「柔軟性」概念の促進要因・結果要因に関する追加の「文献・資料の収集とその分析」、(2)前年度から開始した第1回縦断的調査の継続実施と再分析、(3)従業員および管理職を対象とした第2回縦断的調査の実施と回収、(4)第2回縦断的調査の定量分析、(5)研究の成果発表である。 特に、日韓の従業員の職務意識に関する比較分析を行った一部の研究成果については、Journal of Managerial Psychology誌(ISI SSCI:IF=1.20)に掲載されるなど、本研究領域で国際的に評価されるジャーナルにおいて成果が認められた点は特筆すべき中間実績である。次年度以降、本格的なデータ収集が行われるため、更なる成果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始前の当初の計画では、本研究プロジェクトの2年目にあたる平成27年度には、主に、①文献・資料収集とその分析、②パイロット調査の実施と質問紙の作成、③第1回縦断的調査の実施と分析、及び④研究の成果発表の4点の活動計画を立てていた。 研究開始後、特に研究開始初年度(H26)にて、研究チーム内での積極的な研究貢献と円滑なコミュニケーションにより、(H27予定の)上記活動内容の多くを前年度(H26)に実施できた。したがって、H27年度には、研究開始当初、次年度(H28)に予定していた以下の活動が実施可能となった。 すなわち、①H28年度に実施予定であった第2回縦断的調査の部分的な実施(マルチレベル構造を持つ従業員及び組織レベルのデータ収集)、②第2回縦断的調査の回収データの一部分析作業、及び③追加の成果発表の3点である。
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Strategy for Future Research Activity |
先述のように、当初の計画よりも早いペースで研究が進展しており、調査データの収集プロセスで時間的な余裕ができ、その分細部に注意・配慮の行き届いた研究が実施できている。 平成28年度は、当初「第2回目縦断的調査」を実施する予定であったが、このプロセスの大部分を前年度に前倒しで行うことができたため 、平成29年度に実施を検討していた(1)「第3回目縦断的調査」とフォローアップを活動の中心に据えて実施する。 その他の活動としては、当初の計画通り、(2)文献・資料収集とその分析(ミクロ・マクロのそれぞれの下位作業グループごとに 、文献・資料の収集・分析を進める)、(3)国内外の学会で研究の成果発表を実施するとともに、海外のジャーナルに積極的に論文投稿を行う。 とりわけ、これまで2年間のスピーディーな進捗のおかげで、研究のアウトプットに繋げる活動(データ分析や論文執筆)により多くの資源を割くことができている。チームの研究のアウトプットに対するモチベーションも高く、結果も徐々に出始めている。本年開催予定の米国経営学会 (Academy of Management: AOM)、欧州経営学会(European Academy of Management: EURAM)等の国際年次総会において、複数の論文が受理されている。さらに、本課題の研究成果の一部(日韓比較)がこの段階で、Journal of Managerial Psychology(ISI SSCI: IF=1.20)に掲載された点は特筆すべきである。他にも複数の英語論文が海外の主要ジャーナルで査読審査中となっている。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりも、研究の進捗が早まり、本年度予定していた研究活動の一部が前年度に前倒しで行われたこと、また本年度実施した第2回縦断質問紙調査の一部が調査協力企業の事情で年度末までの実施が困難となり、一部次年度に行うことになったことなどが理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は、回収の終わっていない複数の企業に対する調査実施費用にあてる。この経費はそもそも、H28年度に実施予定だった予算なので、むしろ当初の計画通りの使用ということになる。具体的には、現在調整中の企業数社に対し、従業員及び経営者に対して実施する人材柔軟性に関する質問紙並びにヒアリング調査費用として使用する。したがって、当初の計画より前倒しで実施した第2回縦断調査を予定よりも早く完了させ、H28年度後半の第3回縦断質問紙調査に備える予定である。
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Research Products
(15 results)