2015 Fiscal Year Annual Research Report
新しい時代における企業のリスク管理能力の探求:人・組織・組織観の複合的分析
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26285092
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井村 直恵 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (10367948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
平野 実 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (00405507)
赤岡 功 星城大学, その他, 学長 (10025190)
朴 唯新 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (20435457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / 日本的経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期の景気低迷とグローバル化の下、日本企業は一旦は労働の非正規化を進めた。だがそれに伴うきしみは労働者の生活だけでなく、日本企業が誇る品質管理やリスク管理の低下として現出した。製品リコールや不祥事の急増は、熟練の減少でセーフティネットが機能しなくなり、ヒューマンエラーを防ぐ事を目的とした制度重視の姿勢が機能不全に陥った事を示す。日本企業が長年維持してきた強みが労働市場の変化に伴い失いつつあるとすれば、それは制度の有効性を追求するだけでは解決策には繋がらない。従業員が組織に対して持つ価値観等、従業員の主観的な組織間がリスク回避行動に与える影響を含めて初めて、こうした変化を確かに析出できる。 本研究はこのような問題意識を持って、以下の3点から日本企業における経営システムの変化とリスクマネジメントへの提供について調査した。 第1に、リスクマネジメント研究のレビューと理論構築を行った。その結果、リスクマネジメントには認知-伝達-受容(意思決定)というプロセスが、組織内外の各段階でスムーズに行われる事が重要であると整理した。第2に、組織成員のリスクマネジメント意識に関する文化的特徴を探るため、在台湾の日本企業の現地法人を訪問し、現地調査及び28年度での質問票調査への協力依頼を行った。第3に、国際経済労働研究所と協力し、企業制度調査に着手した。平成27年度には、企業の人事制度、福利厚生、組織構造の変容等について、調査票の設計及び企業の組合へのヒアリングを実施した。年度内に予備調査を実施した。実査は平成28年度の予定である。 本年度内の成果として、3度のセミナーを実施し、企業の中堅マネジャーを対象としてワークショップを実施した。ワークショップに向けた報告の成果は、『新日本型経営としてのΩ型経営の現状』として報告書にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクマネジメントについての質問票調査は、2社でタイでの実査を実施した。また、平成28年度に台湾で質問票調査を実施する予定で、日系企業1社に調査協力に合意いただいた。企業制度調査については、第1回予備調査まで完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
タイでの調査結果の分析及び台湾で質問票調査を実施する。調査においては、再度調査協力企業の台湾現地時法人に訪問予定である。 企業制度調査については、平成28年度に聞取り調査及び質問票調査の実査を実施する。
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Causes of Carryover |
当初、一般の調査会社を利用してWeb調査を実施予定であったが、調査先の企業へのヒアリングの手配も可能な協力機関が見つかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多国間での比較調査を実施しているアンケート調査において、中国での調査を実施可能な協力機関が見つかった。その擦り合わせのための旅費及び業務委託費をその他に計上する。
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Research Products
(3 results)