2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26285095
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40400626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 正隆 日本大学, 経済学部, 准教授 (50507754)
ウィラワン ドニ・ダハナ 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90432426)
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
照井 伸彦 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50207495)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 市場反応 / ベイジアンモデリング / ID付POSデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である今年度は「消費者行動理論に基づく演繹的なアプローチによる市場反応形成メカニズムの解明」を進めた.本年の研究では,研究実施計画に照らして,POSデータおよびID付POSデータを用いたベイジアンモデリングによる実証研究を行った.4つのフェーズで研究を進めている.一つ目のフェーズでは,①Heterogeneous Variable Selectionに基づく百貨店顧客の来店行動の構造異質性の解析,②心理的財布を考慮した閾値ポアソン回帰モデルによる消費者行動の解析,③3階層多変量状態空間モデリングによる動的市場反応形成メカニズムの解明及び④時変係数分布ラグモデルによる市場反応分析という4つのテーマを設定し,研究を進めた. 二つ目のフェーズでは,消費者のブランド選択行動の異質性をディリクレ過程を用いた無限混合正規分布によって表現するモデルを開発した。ファミリーサイズのヨーグルトPOSデータにモデルを適用した結果では、消費者の異質性を単一の正規分布で表現するよりも提案モデルの方が適合度でも予測力でも優れた結果となった。 三つ目のフェーズでは,製品カテゴリー間とブランド間の予算配分に関するモデルを提案し,実際の購買データを用いてこの2つの段階における相互作用や価格の役割など実証分析を行った。分析結果をもとに,消費者の予算や価格の変化により製品カテゴリーとブランドの需要がどのように影響されるか検証し,効果的な価格の施策を考察した。 四つ目のフェーズでは,①大規模ビジネスデータに対するマーケティングモデルの開発,②消費者選好変化のミクロ構造モデリング,③大規模ビジネスデータに対するマーケティングモデルの開発,④消費者選好変化のミクロ構造モデリングに取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも示しているように,「市場反応のメカニズム解明」に向けて11個のサブテーマを同時進行で進め,十分な進展が得られている.研究チームの研究成果としては現在まで,査読付き論文4編,査読無論文(ワーキングペーパー含)6編の成果をあげている.また,招待講演6件,一般講演7件実施しており,アウトリーチ活動も成果をあげている.さらには,関連分野の図書も3件の成果をあげている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の2年目は前年に着手した課題1-Aを引き続き進めるとともに,課題2の動的市場反応形成メカニズム解明のための調査研究に比重を置く.佐藤は開発する動的統計モデルに具備すべき機能について多面的に検討する.課題2-Mでは課題1-Mと同様に,帰納的なアプローチにより動的な市場反応形成メカニズムの解明を試みるだけではなく,消費者行動理論に基づく演繹的なアプローチでも当該課題の解明を試みる.動的な市場反応形成メカニズムの理論化は,静的なもの以上にその進展が遅れている(ほとんど存在しない).そのため,西尾は当該観点を明らかにするための実験調査を実施し,理論モデルを構築する.一方,帰納的アプローチでは,財別のID付POSデータやWEBログデータとコーザルデータと西尾が中心になり取得した調査データの使用を前提に,多層非線形・非ガウス型状態空間モデルの枠組みで,動的市場反応とその形成メカニズムを同時に勘案できるモデルを開発する(担当:ウィラワン,佐藤).ここでは,動的モデルであるがゆえに生じる困難(動的パラメータの推定と市場反応形成メカニズムを表現する複雑な現象のモデル化)に対応できるモデリングが大きな課題であり,克服しなければならない.課題2-Tでは,非線形・非ガウス型でしかも複雑な階層を有する動的モデルを推定可能にするために,佐藤が中心となり伴とウィラワンの協力体制の下,粒子フィルタおよびFFBSの高度化を行う.これら統計技術の研究には,高度な計算機環境の整備が必要不可欠であり,前年に引き続きその整備を進める.課題2-Aでは,課題1-Aの実証分析と同様の対象を動的に拡張する(担当:西尾,ウィラワン,伴,佐藤).当該ステップは,相互に協力し,来年度以降も継続して進める必要がある.次年度以降を見据え,演繹と帰納の融合を実現するための統計技術(モデル化,推定技術)の開発にも着手する.
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Causes of Carryover |
計算機システムに要する費用が,想定よりも安価であったために次年度繰越金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と合わせて,研究遂行に必要な計算機システムの拡充に用いる.また,論文投稿のための英文校正費に充てる.
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Research Products
(26 results)