2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rebuilding Evacuees' Life Structure in Empty-Home-Communities
Project/Area Number |
26285114
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
松薗 祐子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (00164799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 彰彦 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (00634974)
山本 早苗 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (40441175)
松井 克浩 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50238929)
菅 磨志保 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (60360848)
後藤 範章 日本大学, 文理学部, 教授 (70205607)
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777) [Withdrawn]
山下 祐介 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90253369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発災害 / 広域避難 / コミュニティ / 地域再生 / 復興 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災と原発事故から7年が経過した。原発避難という災害は、強制的な避難を含む広域避難であり、これまでの概念でとらえる「コミュニティ」が生活再編の資源として活用できない事象であった。本研究では原発事故による広域避難者の生活再編を、避難者が避難元コミュニティと避難先コミュニティの中で揺れ動くプロセスとして分析した。 生活空間であった「地域コミュニティ」を離れた避難者が失ったものは、個人のレベルにとどまらず、家族や地域社会のレベルにまで拡大し、社会関係を含む社会の営み「人間としてのあたりまえのくらし」が根こそぎ奪われた。しかもこの状況が長期化したため、人々は奪われた時間、変容する地域空間とも対峙することになった。本研究では、避難者が生活空間から遊離してもなお、元々の諸関係と関わりを持ち続けている状態を「空間なきコミュニティ」と捉え、そこでの生活構造の再編過程を解明しようとした。 今年度はこれまでの研究をまとめ報告書を作成した。この7年間、避難者は避難先において元々の諸関係を保持しつつ支援を活用し生活の安定化を図ってきたが、その中で「空間なきコミュニティ」の内容も変化した。避難から数年までは、同じ避難元の人々との交流の意義は大きかったが、時間が経つにつれて長期的な地域への関係が課題となっていった。すなわち、関係性の喪失と再生」から「地域再生に向けての関係性」へと変化した。支援者との関係も変容し、避難当事者が当事者団体や支援活動を行う例も見られた。 帰還しない・できない人々は一方で、避難元との関係を模索しており住民票を移動する人は少ない。彼らのゆらぎと復興政策のミスマッチは、避難者の分断をさらに深刻なものにする。復興加速化の元、避難元自治体の地域空間で進む復興事業は、「地域空間の復興」であって、地域住民の主体としての人間を取り戻す「人間の復興」から大きく乖離している。
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Remarks |
平成26年度~平成29年度科学研究費補助金(基盤研究B)研究成果報告書『「空間なきコミュニティ」における避難者の生活構造の再編に関する社会学的研究』平成30年3月
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