2016 Fiscal Year Annual Research Report
世界の社会学における日本の社会学の位置とその可能性の研究ー世界社会学会議の場合
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26285117
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
矢澤 修次郎 成城大学, その他部局等, 名誉教授 (20055320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 公雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (00159865)
長谷川 公一 東北大学, 文学研究科, 教授 (00164814)
町村 敬志 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (00173774)
篠原 千佳 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (00570178)
油井 清光 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10200859)
野宮 大志郎 中央大学, 文学部, 教授 (20256085)
山本 英弘 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20431661)
細萱 伸子 上智大学, 経済学部, 准教授 (50267382)
陳 立行 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60278314)
金井 雅之 専修大学, 人間科学部, 教授 (60333944)
L.A Thompson 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70197987)
菊澤 佐江子 法政大学, 社会学部, 准教授 (70327154)
西原 和久 成城大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90143205)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会学の国際化 / キャリアパターン / 東アジア社会学 / トランズアクション / アカデミックディペンデンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、世界社会学会議調査、日本社会学会会員調査、国際社会学会アルカイヴ調査で明らかになった日本社会学の世界の社会学における位置とその特徴を様々な学会、国際会議で報告し、日本の社会学の現状を知らしめると同時に、他国、他地域の社会学の国際化の現状と比較検討することに研究の重点を置いてきたが、この課題は以下のような学会、国際会議で報告・討論することができ、十分達成することができた。 (1)日本社会学会(於九州大学}では、一つの部会を組織し、日本社会学会会員調査に基づいて5つの研究報告を行い、日本の社会学の国際化の現状と課題を明らかにした。議論では、さまざまな諸外国との比較研究の重要性が強調された。(2)東アジア社会学者ネットワークコンフェレンス(於中央大学、ソウル)でも一つの部会を組織し、5つの報告を行い、中国、韓国における社会学の国際化との異同に関して議論を深めた。(3)「ヨーロッパ社会学、中国社会学研究センター・ワークショップ(於リヨンCNRS)においては研究代表者が報告を行い、ヨーロッパ社会学も新しい展開を求めて東アジアの社会学への関心が高まっていることを確認した。(4)ASEAN Sociology Forum(於インドネシア大学}3名が一つの部会で報告し、ここでも東アジア社会学のリーダーシップが求められていることが明らかになった。 様々な国際会議で研究成果を発表する努力は、その後も続けられているが、これまでの経験から結論付けるとすれば、以下のように結論付けられると思われる。東アジアの社会学、とりわけ日本の社会学に対する関心は、徐々に高まりつつあり、また日本の国内の社会学者が、積極的に国際的な研究教育活動をしようとする機運も徐々に高まりつつある。その二つの機運を媒介してブレイクスルーをおこさせるものはなにか。それを見出すことが残された課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究計画を立てた当初は、直接関連する研究成果はそれほど多くなく、研究を具体化するにあたって多くの困難が予想されたが、研究チームの努力と内外の研究者の協力によって、世界でも類例のないデータ、日本でも初めてのデータを得ることができ、この点ではおおむね順調に研究を進めることができた。また国内外で研究報告をするようになると、世界各地で同じような問題関心のもとに類似の研究が進められつつあることを発見することになり、この点では予想以上に研究が進んだと評価できる。ただ、研究成果を国際的に広めることに関しては、アフリカ、ラテンアメリカを除けばほぼカバーできたと自負するが、会議が決して大きな会議ではないので、課題を残しているともいえる。また政策提言の点では、さまざまなアイデアを得ることができたが、なお各国の制度との関連で詰める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国内的には、国際的な教育・研究活動に熱心な研究者を対象にしてインテンシヴなインタビュー調査を実施することが必要不可欠である。これは、今までの研究が量的調査であったことに鑑み、それを補い、国際化推進のための媒介を発見するために重要である。また同種の調査を中国、韓国、台湾でも行い、成果の国際比較を通じて、東アジア社会学の共通基盤を明らかにし、最終的には、東アジア社会学会の創設を理論的に支える必要がある。東アジア社会学会が創設されれば、東アジアの社会学の国際化は一段と進むことが期待できる。また欧米社会学への依存が特徴的な地域と協同して、それぞれ地域に独自の社会学の伝統を持ち寄って、欧米にはない教科書や社会学書を執筆するような実践も展開してゆく必要があるだろう。こうした研究の展開があるならば、欧米の社会学の東アジ社会学への注視も一段と高まるであろう。 社会学の国際化を推進する制度的な問題に関しても注意が必要なことは言うまでもない。研究・教育に関する普遍的な制度設計がきわめて重要である。大学・大学院を知の精算の論理に従って組織すること、若い世代の研究・教育活動が国境を越えて自由に移動しながら行えるようにすること、研究者がサバティカルのような集中して研究できる期間を適切に設定すること、大学構成員の専門家を推進し、研究者が研究・教育に責任が十分持てるような制度を作ること、などは国際化を推進するうえで重要である。これらのことを、知の生産論、科学社会学によって解明してゆくことが重要である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた国際会議が、必ずしも私たちの県境目的の達成に適切ではないことが分かり、その国際会議が年度末であったために、計画の実施を中止し、次年度において適切な国際会議を見つけるか、あるいは自分たちで国際会議をもつことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでデータの欠落しているアラブ圏の社会学の国際化の現状を把握する(イランでの国際会議への参加・発表(4月)。韓国、中国、台湾から研究者を招聘して国際ワークショップを開催し、既存の研究成果の発表と今後の研究展開の方向性を探る(5月)。国内研究者インタビュー調査準備(6-7月)。中国社会学会での発表(7月)。第15回東アジア社会学者ネットワークコンフェレンスでの発表(11月)。国内社会学者インタビュー調査実施(11-1月)。第二研究成果報告書作成(1-3月)。
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Research Products
(28 results)