2014 Fiscal Year Annual Research Report
日瑞二国間比較研究:後期高齢者のライフコースと将来のサービスコスト予測
Project/Area Number |
26285137
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
訓覇 法子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (10329766)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 高齢者福祉 / 後期高齢者ライフコース / サービスコスト予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画に基づく主な作業は、先行研究(平成23年度基盤B「10年間の時系列データに基づく高齢者ケアのサービス・コストに関する日瑞比較研究」のデータ(2000-2010年)を使用して、機能障害・健康障害別、年齢グループ別、性別による両国30年間(2010-2040年)のサービスコストの予測試算であった。健康の変化を長期的に予測することの意義は小さいので、2010ー2025年の発展に留め、それ以降は2025年と同じレベルで試算した。両国の測定指標(機能障害・健康障害)が異なるため、各国の地域データと全国データの整合性を重視し、それぞれの国の変化を比較するという方法をとった。 第一次分析の結果によると、両国間には、類似性と差異が見られるが、サービスコストの急速な増加は明らかである。スウェーデンよりも日本の高齢者人口は急速に増加し、85歳以上のグループに集中する(173%)。コストを左右する要因が、機能障害・健康障害の有無であるため、サービス受給も85歳以上グループに集中し、受給率は両国ともに約50%であった。日本の介護サービスコスト増加の大半(94%)が85歳以上によって占められた。健康改善を考慮した試算でも、若年グループに対する供給は減少するが、85歳以上のグループでは大きな変化は見られなかった。したがって、85歳以上のグループのコストの急速な増加が明らかである。日本と異なり、スウェーデンではすべての年齢グループにおいて肯定的な健康改善が見られた。したがって、コスト増加は低く抑えられることが明らかであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の早い段階(9月16日)において、本研究に使用する日本の縦断面接調査(NUJLSOA)の実施者・責任者であり、本研究の連携研究者である齋藤安彦と、スウェーデンの縦断面接調査(SNAC)の実施者・責任者であり、研究協力者であるMarten Lagergrenと、研究代表者訓覇法子が日瑞両国のサービスコスト予測試算実施に関する研究会議を持ち、解析方法などを厳密に議論し、確認した。それによって、解析作業を速やかに進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、健康促進や疾病予防、ケア・ニーズの出現や発展要因を明確にするために、社会的・個人的観点から、本研究の課題2である後期高齢者(77-79歳)のライフ・コースとライフ・チャンス(健康、生活条件、ライフ・スタイル、ケア・ニーズの発展など)の日瑞二国間の比較分析を行う。データとしては、日本大学「健康と生活に関する調査」(NUJLSOA)とスウェーデン国「加齢とケアに関する調査」(SNAC)の縦断面接調査データを使用する。データ確認、解析指標や手法に関する研究会議を、連携研究者及び研究協力者と研究代表者によってスウェーデンで開催し、解析作業を開始する。
連携研究者 日本大学総合科学研究科 齋藤安彦 研究協力者 ストックホルム老年学研究センター Marten Lagergren
|
Causes of Carryover |
平成26年度は、日瑞両国のデータ確認・収集及び解析手法の検討のため、9月にスウェーデン側の研究協力者3名を日本へ招聘し、研究会議を行う予定であったが、先方の都合により研究協力者1名の招聘となった。そのため、渡航費用が減額となり、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
日瑞両国の比較データセット、データ解析・分析に必要な費用(謝金・その他)、また、比較分析の検証をするために、スウェーデンにおいて研究会議を開催する。このため、研究代表者、連携研究者らの日本からの渡航費用に使用する。
|