2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26285152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日野林 俊彦 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80156611)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発達加速 / ヘテロクロニー / 初潮 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年2月に実施した全国調査により、4月までに、47都道府県より1000校を超える小中学校の協力を得た。4月以降、この資料を都道府県別に分類し、学校単位で入力作業を行った。現在、約4万2千人程度の児童・生徒の個人データを集計中である。その間、比較データとなる2011年の沖縄県のデータを分析した、日本女性の初潮年齢には、年間加速現象として全国的な低年齢化が見られるとともに、発達勾配現象として、諸外国に比較して低年齢である、さらに国内地域差も確認されてきており、例えば沖縄県における平均初潮年齢は一貫して全国平均よりも早い傾向が見られた。沖縄は青森、秋田県などとともに早熟傾向が見られる代表的な地域である。また沖縄は、女性の平均寿命の長さ、合計特殊出生率の高さ、離婚率の高さ等でも知られ、女性の生涯発達の視点で特徴のある地域でもある。分析の結果、沖縄における平均初潮年齢は一貫して2ヵ月程度低い傾向が見られている。沖縄女性の性成熟は世界的にも早熟な地域と考えられる。沖縄の児童・生徒には、相対的に、小柄な身体で、性成熟が早いという傾向が見られる。欧米に比較しての日本の傾向でもあり、沖縄はヘテロクロニー仮説の検証地域としての可能性とともに、日本全体の傾向を予測する地域としての可能性が示された。なかでも、朝食習慣や睡眠時間に見られる健康習慣の悪化した児童・生徒の平均初潮年齢はさらに低い。一方で、乳幼児に関わる関心は他県より高いという心理的傾向が見られた。沖縄の傾向からも初潮年齢の個人差・集団差は、女子思春期開始の指標としてだけではなく、他の心身の発達と連動する発達指標・健康指標としての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
約4万2000人分の全国資料を収集したが、その分、集計も遅れ、調査協力校への報告書送付も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在集計中のデータを用いて分析作業にはいる。 1. 平成27年2月現在における全国および47都道府県別の学年別既潮率および平均初潮年齢を計算する。平均初潮年齢には、status quo data(初潮の有り無し)からProbit法により求め、既潮率50%推定年齢を用いる。 2.上記の初潮年齢にに影響を与える諸要因の分析を行う。 3.平成27年の全国調査の結果をコホート分析する。平成23年調査の小学校4年生から5年生は平成27年2月には中学校2年生から3年生になっている。既潮率、各種付加質問への回答を小学校4年生から中学校3年生まで横断的に比較するとともに、前回の小学4年生と今回の中学2年生、同様に小学5年生と中学3年生を比較分析し、2点間のコホート分析を行う。生活史理論の視点から、性成熟の低年齢化とトレードオフの対象となったものは何かという視点から分析を加える。 4.大阪大学に蓄積された初潮の時期に関する研究資料比較し半世紀にわたる研究としての総括を行う。
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Research Products
(3 results)