2014 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的運動の検出と統合メカニズムに関する研究: 時空間輝度勾配に基づく分析
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26285165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 宏 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20293847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
V・T・G Jakobus 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30362586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実験系心理学 / 視知覚 / 心理物理 / MRI / 計算モデル / 運動視 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1:英国Royal HollowayのSmith教授およびFurlan博士研究員の協力により,オプティカルフロー刺激に対する心理物理的測定実験を計画,予備実験まで進んでおり,引き続き実験を進める.また,その結果をもとにマルチボクセル解析によってフロー解析の脳内処理を推定する実験の立案を進めている.当初は27年度に行う予定であったが,大学院生(JSPS DC1上崎麻衣子)と共同で,MRI拡散強調画像による脳の結合性の分析を行い,視覚運動領野と感覚連合野を結ぶ主要な結線を再発見した.これはSachs(1892)が発見したものと相同と思われるが,生体脳において視覚運動への応答による機能的同定との整合を示したことに大きな意義がある.本研究に際しては竹村浩昌博士(JSPS,スタンフォード大)の協力を得た. 課題2:研究分担者(van Tonder)とともにこれまでに提案された錯視運動知覚のモデルを検討した.引き続き独自モデルの構築を進める. 課題3:視覚運動と明るさの知覚メカニズムを探る一環として,明るさ知覚における両眼立体視情報の寄与に関する心理物理実験を行い,両眼視差が明るさコントラストに与える影響は全般に軽微であるが,一部の条件においてコントラストが強調されることを見いだした.27年8月に開催されるECVP(欧州視覚会議,Liverpool, UK)などで報告予定である.この結果は動きと明るさの相互作用のレベルを考える上で重要であり,27年度も引き続きブリストル大学の研究協力者とともに実験研究を進める.明るさと色の精細な計測と制御のために分光測色計(PR-655)を導入した.計測結果は27年度以降の実験研究に活用される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡散強調画像実験など一部の課題は当初予定以上に進展しているが,モデル構築課題など若干遅れている面もある.総じて予定に近いペースで成果があがっており,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
脳画像研究,心理物理学実験,計算モデルの各面において研究を着実に進展させたい.研究分担者であったvan Tonder博士は事情により退職し,科研費受給資格を失ったため研究協力者となるが,実際には今まで以上に時間が取れるため,引き続きモデル研究を進めてもらう.ブリストル大学との共同研究は,京都大学の内部資金を獲得したことで大きく拡充を求められている.その一環として,視知覚とくに運動視に関する研究の基盤として本研究課題を位置づけ,次年度はこちらにいっそう注力する.
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Causes of Carryover |
利用施設におけるMRI機器使用料の支払いが発生しなかったため「その他」費目の使用額が予算を下回った.代わりに物品費と旅費として使用したが,さらに購入すべき物品の価格に残額が足りないため次年度予算と合わせて購入計画を見直すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算における物品費の補填に使用する.
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Research Products
(6 results)