2015 Fiscal Year Annual Research Report
学生参画による質保証の国際比較―学生との対話を反映した大学教育の質の向上―
Project/Area Number |
26285171
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 正弘 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (30423362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 利枝 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (00271578)
渡邊 あや 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60449105)
武 寛子 愛知教育大学, 教員養成開発連携センター, 講師 (60578756)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育政策 / 大学の質保証 / 学生参画 / 国際比較 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「学生参画」(Student Engagement)による大学教育の質保証の実態を,7カ国(スウェーデン,フィンランド,イギリス,アメリカ,オーストラリア,台湾,および日本)を対象に分析し,その分析結果を論拠として,学生参画の日本型モデルを提唱することにある。 この目的の達成に向けて,本年度は,昨年度実施した訪問調査・文献調査の成果として,共同発表「学生参画による大学の質保証―フィンランド,アメリカ,台湾,日本の比較―」および「FD活動への学生参加の実践から考える,学生の力を活かした教育の質保証」を,6月27日(土)~28日(日)に日本高等教育学会第18回大会(会場校:早稲田大学)において実施した。この発表において,学生主導で学生参画を推進してきたフィンランド,厳格な教員評価を望む政府の意向で学生参画を推し進めた台湾,顧客としての学生の声を集めるために大学主導で学生参画を導入したアメリカ,および有志団体の自主的な取組として学生参画を発展させた日本という,興味深い対比を示すことができた。 同様に,学生参画を研究している海外の研究者6名(オーサ・ケッティス:ウプサラ大学,ヤニ・ウルシン:ユバスキュラ大学,スチュアート・ブランド:バーミンガム・シティ大学,ピーター・フェルテン:イーロン大学,ライアン・ネイラー:メルボルン大学,林世昌:清華大学)を招聘し,1月23日(土)に筑波大学東京キャンパスを会場として,国際会議を開催した。80名近い参加者を集め,有意義な意見交換ができた。 本研究の成果は,2冊の書籍(日本語版と英語版)にまとめ,来年度中に出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画に沿って,学会での発表と国際会議の開催を実現することができた。これらの活動を通して得られた知見を各国ごとに文章化し,2冊の書籍にまとめる準備を整えることができた。なお,本研究で明らかにしたいことは次の4つである。(1)学生参画による大学の質保証は,各国において,どのように発展してきたのか。(2)質保証に参画する学生は,どのような団体から,どのように選ばれるのか。(3)質保証への学生参画は,彼ら自身の学修活動の質を向上させるのか。(4)我が国における質保証への学生参画は,如何にあり得るか。 上記の(1)と(2)について,ある程度明らかにすることができたので,書籍をまとめる段階において,(3)と(4)の課題への回答を試みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカの大学(イーロン大学とブリンマーカレッジ)とオーストラリアの大学(メルボルン大学とビクトリア大学)への訪問調査を,それぞれ9月と11月に実施する予定である。 メンバーによる研究会を東京で8月と10月に2回開催する。8月の研究会では,書籍(日本語版)に掲載する各担当者の初稿について議論を交わし,加筆修正すべき点などを指摘する。10月の研究会では,最終稿の確認と字句の統一などの作業を行う。3月までには出版できるように計画的に研究活動を進めていきたい。 英語版の書籍については,国際会議に招聘した外国人研究者に執筆を依頼済みである。10月末を初稿の締め切りとしている。内容に関する議論はメール会議で行う。こちらの書籍についても,3月までに出版できるように周到に準備したい。
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Causes of Carryover |
海外から6名の著名な外国人研究者を招聘し,国際会議を開催するための経費を大きく確保していたが,自費での渡航(往路は科研費,復路は自費など)を希望する研究者が多々いたため,旅費の負担が予想していたよりも少なく済んだ。よって,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アメリカとオーストラリアの大学への訪問調査を新たに企画し,実施することとした。
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Research Products
(4 results)