2016 Fiscal Year Annual Research Report
学校外教育が学校選択および職業キャリアに及ぼす影響に関する実証分析
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26285191
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松繁 寿和 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (50219424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 渉 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (00406589)
平尾 智隆 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30403851)
湯川 志保 帝京大学, 経済学部, 助教 (50635141)
柿澤 寿信 大阪大学, 学内共同利用施設等, 講師 (70735315)
梅崎 修 法政大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90366831)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90457036)
岡嶋 裕子 大阪大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50761649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 正課外教育 / 学習姿勢 / 教員のコンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に二つの研究を進めた。一つは、正課外教育がどのように生徒の学習態度、そして学業成績に影響するかを検証することである。もう一つは、学校教育において、学校規模、学級サイズ、教員・生徒比率などといった質的側面を把握したうえで、それらの違いが学業成績にどのような効果を持ったかを統計的に検証した。 前者の研究は,困難校といわれたある中学校に塾で行われている学習を導入し、学習姿勢や非認知能力 の形成、さらには学業成績にいかなる効果を発揮しているのかを、検証したものである。研究の特徴は、準社会的実験環境を捉えてDifference in Differencesを応用した点と学業成績と生徒及び教員アンケートを突合したデータを作成したことにある。研究成果は、大阪大学国際公共政策研究科が発行するディスカッションペーパーとして公表した。 後者の研究は、中学校教員の望ましい教育行動とはどのようなものかを、ある地方都市の全国的にも標準的な学力水準にある2つの公立中学校を対象に実証的に検討したものである。まず、それぞれの中学校の校長が優秀であると判断した教員につきインタビュー調査を実施して、教育行動を洗い出して項目化した。さらに、その結果を踏まえて授業の状況や教員の行動や工夫に関するアンケート調査を行い、生徒の学力試験の結果などのデータと照合して、それらの関係の定量的分析を試みた。結果、多くの教育行動項目に対する認知度と試験の成績には有意な正の相関が観察され、生徒の成果向上に資するような教員の行動特性(コンピテンシー)を抽出することができた。成果は、教育社会学会で報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「課題1:家計予算制約が学校該教育の受講に及ぼす影響」に関しては、予想外にデータの整備に時間を要している。「課題2:学校外教育が学業成績および進学に与える影響」は、複数年度にわたるパネルデータの作成を継続した。これまでの、過去のデータを分析した結果は、ディスカッションペーパーにまとめられた。また、計画以上のデータを入手し分析を進め、教員のコンピテンシーに研究の対象を広げた部分は、成果を学会で報告した。「課題3:学校教育の質的差異が職業キャリアに与える影響」は、学校卒業の追跡に関して引き続き関係機関との調整を続けることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年にわたり行ってきた中学校における正課外学習の成果、生徒の学習に対する取り組み姿勢、教員の工夫等に関する調査を継続し、パネルデータの観察期間を延ばす。また、すでにまとまった研究結果に関しては、最新の分析方法を適応して分析精度を上げ専門雑誌への投稿を行う。課題2に関しては、他の自治体と協力し同様の研究ができる可能性を探るとともに、全国を対象とした調査データの入手と分析をすすめ、これまで個別事例を対象として行われた研究結果の一般性を検証する。
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Causes of Carryover |
本格的な調査を初年度には行っておらず、2年目から本格化している。したがって、学力測定調査およびアンケート調査およびそれらの集計等に関係する支出が会計年度を跨っていた。特に、初年度には4、5月に行われる学力調査およびアンケートの準備を3月に行っていたが、昨年度より当該年度での対応が可能となったことから、関係する支出を1年遅らせることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度終盤に行われた学力測定調査およびアンケート調査と集計は29年度4,5月に行われる。また、これまで分析結果の一般性を検証する研究を開始するために、それに関わる支出に充当する。
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Research Products
(8 results)