2014 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の能動的タッチスクリーン機器活用のための開発ー教育ー評価サイクル確立
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26285210
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
小野 束 筑波技術大学, 名誉教授 (20091829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視覚障害 / タッチスクリーン / 情報補償 / 情報補償技術教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、急速に普及しているタッチスクリーン機器を視覚障害者が活用・応用できる方法の確立を目的としている。その実現のための研究手法として 1. 情報補償技術開発、2. 使用法(教育・活用)、3. 利用レベル評価、4. 改善点抽出の4項目サイクルを通じた調査研究をおこなっている。 26年度においては、アナログ的インターフェースであるタッチスクリーンの操作を視覚障害者が利用しやすいディジタル的操作環境として構築するための 1. 情報補償技術開発として、視覚障害者に使いやすいボタン配置に関する検討をおこなった。具体的には、アクセシビリティ機能使用時のボタン探索時間、エラー率、主観的負担などを検討した。その結果、視覚障害者が操作する場合には1次元的なボタン配置よりも2次元的な配置の方が操作時間の短縮や操作の安定性を見込めることがわかった。27年度以降においては、この実験結果を反映させて、触覚フィードバックを備えた2次元ボタン配置による視覚障害者向けインタフェースの開発をおこなう。 また、 2. 使用法(教育・活用)として、視覚障害者向けスマートフォン講習会を社会福祉法人日本盲人会連合と協力して実施した。対象は40歳代から60歳代の視覚障害者14名であった。講習会後のアンケートの結果、高齢の受講者を中心に操作の名称や専門用語などの普段聞きなれない用語に戸惑ったという回答が多かった。今後、高齢化率がさらに上昇していく我が国において高齢の視覚障害者の実数も確実に増加すると予想されるので、これらの結果を念頭に置き、27年度に開発する情報補償技術の活用及びその教育を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度目標はタッチスクリーン操作について視覚障害者が利用する際の課題について調査研究を行い課題を見出すことにあった。 具体的には操作ボタンの大きさや配列について実験的に評価して成果を得ることができた。また、重度視覚障害者を対象とした講習会を開催し操作法の説明と実際の操作との関連性について調査した。また重度視覚障害者への指導は視覚障害当事者が行うことが適切であると考えられるが多様性をもつタッチスクリーン機器には必ずしもそうではないこともわかった。マニュアル等の作成段階では当事者の意見は重要であるが教育方法においては健常者との組み合わせ等が考慮されねばならないことなども明らかになってきた。これらの教示課程において最新機器に対応した操作マニュアルの点字版、拡大版を作成することができた。これら成果は26年度当初予定通りの進捗でありいずれも27年度の研究の基礎となるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度以降の研究においては26年度の研究成果で得られた調査結果及び実験結果にもとづき視覚障害者のタッチスクリーン機器の能動的活用に必要な技術・教育方法について検討を行う。より具体的には視覚障害者がタッチスクリーン機器を能動的に活用するための各種方法の発掘ならびに具体的な方法の開発を行う。それらの情報補償方法の一つとして触覚フィードバックを備えた視覚障害者向けタッチスクリーンのインターフェース開発を進めることで現状の音声による情報補償方法の技術面からの解決を目指す。続いて上記能動的活用方法の操作・教育方法の開発を行う。触覚を利用した場合の情報提示方法については音声と異なり未知の事項が多い。そのため、一連の「開発-教育-評価」というサイクルで研究を進める。 引き続き27年度開発の操作マニュアル点字版の評価を受けることにより音声情報補償について継続的に教育法における課題を抽出し新たな触覚フィードバックを意識しつつより高次元のサイクルを構築していく。
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Causes of Carryover |
以下2点の理由により次年度使用額が生じた。 1.一部物品手配が3月となり納品が期をまたいだため未払いが発生した。 2.26年度投稿済み論文の英文校正が遅れて支払いが27年度となっため未払いが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記2件の理由のうち、1については既に納品が完了し検収を終えている。また、2については作業も完了し27年度6月に支払予定となっている。
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Research Products
(8 results)