2014 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツエバネッセント光のナノ空間制御と量子伝導研究への応用
Project/Area Number |
26286005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 行雄 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 准教授 (90334250)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ(THz)電磁波を用いた技術は、無機・有機材料、生体系、宇宙・天体系など自然科学の多岐にわたる分野で強力な計測ツールとなることが期待されている。物質・分子科学の分野では、THz帯の光子エネルギー(meV)は、様々な固体中電子や格子の励起エネルギー、高分子の振動や分子間相互作用に対応する重要な領域である。したがって、THz計測の物性研究応用は興味深いにもかかわらず、光源や検出器といった基本素子すら確立されていないため、THz物性研究も発展途上である。この背景には、THz周波数帯は、エレクトロニクスを駆使した電子制御の高周波限界であり、オプティクスやフォトニクスを駆使した光制御の低(光子)エネルギー限界でもあるという事情がある。本研究では、THz電磁波のエバネッセント光をナノスケールで空間制御する新しい技術の開発を行う。さらにこのイメージング技術を基にした新たなナノ電子物性研究の開拓と実証を行う。本研究により、これまで波長の長さゆえに進展が不十分であったナノ領域でのTHz計測を行う。今年度は、THz電磁波を微小空間に局在化させるための半導体構造の研究を行った。電磁界シミュレーションにより最適な構造を見い出し、半導体微細加工による作製・THz時間領域分光法による透過スペクトル測定を行った。実験結果より、シミュレーション結果に対応した吸収スペクトルを観測した。また、比較的高い誘電体であるシリコンを基板に用いることで、構造のサイズを約10分の1に減少させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小空間におけるTHz電磁波局在化のために必要となる半導体プロセスを確立できたため、順調なスタートであった。電磁界シミュレーションに合致した実験結果も得ており、今後、計算と実験の両面から着実に発展させる礎を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、デバイス作製の工夫によりさらにTHz電磁波の局在化・増強効果を高める研究を行う。シリコン上の金属材料や構造の最適化を行い、THz時間領域分光法により効果を確認する。このデバイスを用いて、ナノカーボン材料、半導体材料のTHz物性研究を行う。
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Causes of Carryover |
当初は半導体プロセス用の化学薬品用として検討していたが、研究の後半は、デバイス作製が順調に進み、測定が主となったため、購入は保留となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
テラヘルツ計測用の光学部品として使用する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Carbon Nanotube Terahertz Detector2014
Author(s)
Xiaowei He, Naoki Fujimura, J. Meagan Lloyd, Kristopher J. Erickson, A. Alec Talin, Qi Zhang, Weilu Gao, Qijia Jiang, Yukio Kawano, Robert H. Hauge, François Léonard and Junichiro Kono
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Journal Title
Nano Letters
Volume: 14
Pages: 3953-3958
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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