2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボンの分子変換による革新的近赤外発光プローブの創製
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26286012
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
前田 優 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10345324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 発光 / 化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学修飾による単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の化学修飾による蛍光特性の制御について検討を行なった。初年度の研究では、付加基であるアルキル基の構造によって化学修飾率を制御し得ることを見出した。嵩高い付加基を導入した最も付加量の小さいアルキル化SWNTsから、近赤外領域の新しい蛍光を発現させることに成功した。この新しい蛍光は、生体組織透過性の高い近赤外光で励起および発光させることが可能である。 最も化学修飾率が低いアルキル化SWNTsの発光強度が高かったことから、当該年度では、熱処理による付加基の脱離反応を利用した化学修飾率の制御を試みたところ、熱処理温度が高くなるにつれて付加基の脱離する割合が増大することが明らかになった。 これらの試料についての発光特性の評価を行ったところ、適度な化学修飾率であるアルキル化SWNTsは、近赤外領域に強い発光を生じることが明らかとなった。発光波長は、未修飾のSWNTsや既報の酸化SWNTsやアリール化SWNTsの発光ピークと比べて、大きく長波長側に観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学修飾率に応じて、新しい近赤外蛍光を発現させることに成功した。 従来の発光スペクトルに比べて、大きく長波長領域にシフトした発光を生じさせることに成功し、化学修飾法によって発光波長の異なる近赤外蛍光材料をデザインできることを実証した。置換基の特性を利用した付加反応による化学修飾率と発光特性の制御だけではなく、熱処理による脱離反応を組み合せることで、より詳細な制御ができることを見いだし、新しい制御法の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られたアルキル化SWNTsから、酸化SWNTsやアリール化SWNTsとは大きく異なる波長の発光が生じたことから、発光波長の制御法についての因子の解明を目指す。 化学修飾により発現する新しい発光の特性(蛍光寿命など)の解明を行なう。 化学修飾したSWNTsの熱安定性について、詳細な検討を行なう。
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Causes of Carryover |
初年度の分光光度計導入に関する経費が計画時の予定よりも小さくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発光分光光度計のランプの交換や、試薬及び発光測定用の溶媒購入に充てる。
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Research Products
(4 results)