2014 Fiscal Year Annual Research Report
内包粒子の規則配列構造を外場制御できる新規中空コロイド結晶の作製と機能創出
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26286019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374963)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 中空粒子 / 規則配列 / 可動 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、サブミクロンサイズの球状コアを内包した中空粒子(Yolk/Shell粒子)を合成し、規則的に集積させたYolk/Shell粒子中の内包コアのブラウン運動を外部電場で制御することを試みた。Yolk/Shell粒子の分散液を温調せずに、室温で乾燥させた粒子は従来、内包コアがシェル内壁に固着し、内包コアの可動性が失われていた。一方、高温条件を保った状態で乾燥させたYolk/Shell粒子の集積体は内包コアの可動性が完全に損なわれることはなく、同集積体に水を滴下すれば、内包コアが再び動き出す傾向が強まることを見出した。本実験結果に関する検討は引き続き行うが、これらの結果から、コア粒子の可動性に及ぼす因子としてシェル壁が蓄える水分量が挙げることができ、その水分量によってYolk/Shell粒子内でブラン運動するコアの割合が大きく変化する可能性を示唆した。 可動性コアを内包したYolk/Shell粒子の集積体には交流電場を印加し、印加状態のコア粒子のブラウン運動を光学顕微鏡で観察した。その結果、シェル内のブラウン運動を抑制する効果は比較的低い周波数帯域で強く現れた。すなわち基板上に二次元で規則配列したコア集積体に1 MHz程度の電場印加に印加しても、ブラウン運動はほとんど抑制されなかったが、1 kHz程度の電場を印加すると、内包コアのブラウン運動が抑制され、シェルと内包コアのそれぞれがヘキサゴナル構造に近い配置となる傾向を示した。この結果は内包コアを取り囲む電気二重層がシェル内の運動に強く影響を及ぼしていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は当初の計画通り、サブミクロンサイズのシリカコアを内包したYolk/Shell粒子を合成し、内包コアの可動性を光学顕微鏡観察で実証した。多層コア‐シェル粒子の中間ポリマー層を焼成によって取り除く過程でもシェル壁が崩壊しない程度厚く、かつ同粒子を液中で光学顕微鏡で観察しても内包コアの動きが追跡できる程度薄いシェル厚があることをサブミクロンサイズの内包コアを対象に明らかにした点も当初の計画通りであり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高い電場応答性を示すとされるチタニア粒子をコアとし、それを中空粒子に内包したYolk/Shell粒子を合成する。同粒子が規則的に配列した集積体をコア粒子の可動性を損なわずに作製するとともに、作製したYolk/Shell粒子の集積体には電場を印加し、内包コアの電場応答性を評価する。コア粒子の可動性評価には従来の光学顕微鏡観察だけでなく、反射スペクトル等の光学特性も合わせて測定することも検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効果的に推進したことに伴い発生した未使用金額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額と合わせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)