2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造物のフォノン輸送を用いた革新的バイオセンサーの創成
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26286035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 雅彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80112027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草部 浩一 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10262164)
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50452404)
荻 博次 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90252626)
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノメカニックス |
Outline of Annual Research Achievements |
石英基板上に数μm角、厚さ30nmのAuナノプレートアレイチップを開発し、個々のナノプレート上に抗原を固定化し、アレイチップ上に標的蛋白質を含む検体溶液をフローするシステムを開発した。石英基板の裏側から極短パルス光を照射して、ナノプレートを一つ一つ加熱してフォノンを励起し、検出用のパルス光によりプレート内に存在するフォノン検出するシステムである。プレートから固定化蛋白質および結合標的蛋白質を介してフォノンが輸送される現象をモニタリングすることにより、標的蛋白質を検出する原理である。理論計算も行い、フォノン輸送の応答が標的蛋白質の厚さの変化とともに特徴的な変化を示すことを見出し、実際に、実験においてもこれを再現することに成功した。この新しいバイオセンサーを用いて、前立腺癌のマーカー蛋白質の検出を試みた。検出感度は疾患診断レベルに達していたが、フロージのベースラインの安定性に課題を残した。また、ナノブリッジ内を伝播するガイド波の励起と検出を試みた。ガイド波のモード特定にはいたらなかったが、予想通りのフォノ輸送波形が得られていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
色収差の無い 150倍の対物レンズを用い、また、ミラーレンズ機構を取り入れて、超高速フォノン輸送現象を局所的に観測することのできるシステムをほぼ確立することができた。ナノプレートアレイの開発およびフォノン輸送現象の実験的理論的確認にも成功し、実際のバイオマーカーの検出にも至っている。以上より、順調に研究開発が遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
フォノン輸送現象のより深い理解により、さらに感度と安定性を向上させることが可能と思われる。理論解析をさらに進め、標的ごとのフォノン輸送現象の特徴を確認して、測定条件を最適化してゆく。
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