2015 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア輸送型スピン流を用いた論理演算素子創製に関する研究
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26286039
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
仕幸 英治 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90377440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40448014)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
スピントロニクスの新展開としてキャリア輸送型スピン流を用いた論理演算素子創製のための研究を次の三段階で行っている。研究項目1)伝送線路を用いたスピンポンピングにより半導体材料にスピン流を生成し、スピン輸送を実証する。項目2)スピン流のスイッチングを行う。項目3)スピン流を用いた論理演算素子の創製を目指し、情報処理演算の基本となるNAND演算回路を作製し、演算を実証する。本研究ではスピン輸送の材料として当初の2種類に加えて3種類用いる。一つは100 nm以上のスピン輸送が可能で、かつゲート電圧印加でスピン流のスイッチングが期待できるシリコン(Si)を、2つ目は環境温度制御によりスピン流スイッチが期待できる遷移金属化合物を、3つ目は光制御によりスピン流スイッチングが期待できるペンタセン分子膜を用いる。 項目1)に関し、Siベースの研究について、前年度に故障したレーザー描画装置の修理が完了し、以下の試料作製を行った。スピンポンピングによるスピン注入およびスピン輸送特性を評価するために、強磁性金属パーマロイ(Py)と、スピン流検出のためのパラジウム(Pd)をSi上に配置した試料を作製した。PyとPd間距離は系統的に変更した。 特性評価として前年度に導入したネットワークアナライザを用い、以下を実施した。まず、評価システムを新規構築した。この装置を用い、スピン輸送特性を評価した。Siについては、キャリア濃度が増えるとスピン拡散長は長くなる傾向が見られた。ただしp型Siの場合、キャリア濃度が縮退半導体領域に達するとPdで検出される起電力が変化し、金属的伝導になっている可能性が見られた。新たに始めたペンタセン蒸着薄膜について、ESR装置を用いて、室温でのスピン輸送を世界で初めて達成した。 項目2)に関し、Siベースの研究について、ゲート電圧印加による評価装置のセットアップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Siベースの研究について、前年度に起きた装置故障については修理が完了したので、研究を邁進し、当初の計画まで概ね持ち直した。遷移金属酸化物ベースの研究については、PLD用レーザー源のガスの価格が高騰したため、作製できる試料量がやや減った。ただし、本研究に十分な量を確保しており、問題は無い。また、新たに始めた分子材料による実験が順調である。現時点で研究は、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
試料作製について、これまでに確立した微細加工技術、成膜技術等により進行できる。特性評価についても、予定していた測定系構築が本年度に完成したので、これも問題ない。このまま研究計画どおり実施する。
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Causes of Carryover |
研究分担者分64,797円については、PLDレーザー用ガス(他経費にて購入)以外の消耗品使用量が想定よりも少なく済み、結果的に購入費用を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者分64,797円については、物品費の一部に充てる予定。
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Research Products
(7 results)