2014 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性共鳴を用いた磁気交換力顕微鏡によるナノ磁性体の交換相互作用に関する研究
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26286051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 艶君 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50379137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 康弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40206404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁気交換力顕微鏡 / 小振動動作 / 高周波動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず、磁気交換力顕微鏡の超高感度化と超高分解能化を実現した。具体的には、カンチレバーの小振幅動作と高周波化、変位検出計の高感度化、並びに、先鋭な磁性体探針を実現した。次に、交換力を最も高感度に測定するための観察条件を実験的に解明した。さらに、カンチレバーの周波数シフトに含まれる変調成分から交換力と交換エネルギーを導出する方法を開発した。 具体的には、従来のカンチレバーに比べて、ばね定数が大きく、共振周波数の高いカンチレバーを導入し、小振動振幅(約0.1nm)での安定動作を実現した。この結果、探針・試料間の相互作用時間が長くなり、力の検出感度が一桁以上向上した。また、短距離力に対する感度が向上し、空間分解能も向上した。変位検出計で問題となっている半導体レーザのモードホップノイズを高周波重畳により低減し、低ノイズ化を実現した。また、光出力を最適化し、ショットノイズが支配するレベルまで低ノイズ化した。シリコン探針の先端に高保磁力の磁性体薄膜を先鋭にコートできるようにスパッタ条件を最適化した。交換力の測定は、カンチレバーの周波数シフトに含まれるマイクロ波の変調成分をロックインアンプで検出することにより行われた。ナノ磁性体の磁気的性質を解析するため、磁性体探針と磁性体試料の間に働く交換エネルギーを導出する分光法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、以下の研究を達成した。 磁気交換力顕微鏡の超高感度化と超高分解能化を実現した。カンチレバーの周波数シフトに含まれる変調成分から交換力と交換エネルギーを導出する方法を開発した。 短距離力に対する感度が向上し、空間分解能も向上した。磁気交換力顕微鏡の高感度化と高分解能化を実現するため、カンチレバーの変位検出計の低ノイズ化を実現した。 交換力の最適観察条件の実験的検討した。交換力を最も高感度に測定するための観察条件を実験的に解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、まず、構成原子数の明らかなナノ磁性体の絶縁体表面へを構築する。ナノ磁性体に閉じ込められる電子のエネルギー状態やスピン状態は、ナノ磁性体を構成する原子数に大きく依存する。次に、3次元・交換力分光法を開発する。ナノ磁性体の磁性を解明するため、個々の原子位置での交換エネルギーの深さと原子間の障壁の大きさを議論する必要がある。さらに、ナノ磁性体の交換相互作用を解明する。3次元フォース分光法を用いて、1次元・2次元・3次元のナノ磁性体における磁気交換相互作用を解明する。最後に、個々の磁性原子間の交換相互作用を解明する。3次元の交換ポテンシャルを水平方向に対して微分し、水平方向に働く交換力を導出する。さらにその距離依存性より磁性原子間の短距離的な交換相互作用と長距離的な交換相互作用について検討する。
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Causes of Carryover |
必要な消耗品を購入し、残った分を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算に追加し消耗品で使用する予定である。
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Research Products
(13 results)