2014 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒光パルスの偏光伝播の3次元動画像記録・観察とその超高速現象観察への応用
| Project/Area Number |
26286062
|
|---|
| Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80293984)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 応用光学・量子光工学 / 可視化 / ホログラフィ / 光伝播 / 偏光 / 高速度撮影 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
フェムト秒光パルスの異なる偏光成分伝播の動画像の同時記録光学系の設計および記録・観察実験を行った．
まず，実験に適するように具体的に光学系を設計した．設計した光学系では，超短パルスレーザーを光源に用いる．光源からのフェムト秒光パルスをハーフミラーで二分し，一方を参照光パルスとしてホログラム乾板に斜入射させ，他方を，3次元の光拡散体に導入する配置にした．伝播する光の偏光状態を動画像として記録するために，参照光パルスの光路中に偏光フィルタアレイを導入した構成の光学系として設計した．設計した光学系を構築した．構築した光学系では，超短パルスレーザーとしてモードロックチタンサファイアレーザーを，3次元拡散体としてゼラチンゼリー等を用いてそれぞれ構築した．偏光フィルタアレイとして，高分子フィルムにより構成される偏光板を用いた．伝播する超短パルス光の偏光成分の動画像を記録するために，2方向ならびに4方向の直線偏光を同時記録する光学系を設計し，構築した．構築した光学系では，異なる方向の偏光を通過させる直線偏光フィルタを1×2ならびに1×4配置したアレイを製作した．
構築した光学系を用いて，フェムト秒光パルスの偏光伝播の3次元動画像記録・観察実験を行った．3次元空間中を伝播するフェムト秒光パルスの偏光の伝播の様子として2方向の直線偏光についてそれぞれの伝播の3次元の様子の動画像の同時記録を行った．記録されたホログラムからは，同一のフェムト秒光パルス伝播について2方向の直線偏光について，それぞれ3次元動画像を観察でき所望の結果を得た．さらに，直線偏光を4方向に増加させた場合にも，所望の結果を得た．
本年度に構成した光学系では，記録される画像のコントラストが理想よりも低くなることが分かった．そこで，このコントラストの低下の原因を解析し，コントラストを向上させる方法の検討が必要であることを明らかにした．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題であるフェムト秒光パルスの偏光伝播の3次元動画像記録と観察のための光学系の設計ならびに構築ができた．また，構築した光学系によりフェムト秒光パルスの偏光の伝播の様子として，同光パルスを構成する複数の直線偏光の伝播の様子をそれぞれの直線偏光について同時に動画像として記録・観察することに成功した．また，直線偏光成分として2成分さらには4成分の伝播の3次元の様子を同時に動画像として記録・観察に成功した．
以上の成果が得られていることにより，本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる．
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に構成した光学系では，記録される画像のコントラストが理想よりも低くなるということが分かった．そこでまず，このコントラストの低下の原因を解析し，コントラストを向上させる方法を検討する．検討した方法について実験により，その能力を検証する．コントラストを向上させる方法として，ホログラムを記録する際に参照光の光路中に設置する偏光フィルタアレイの消光比を向上させるとともに，偏光フィルタアレイを配置する際に，光軸に対する偏光フィルタの透過軸の方向を最適化する．
次に，改良した光学系を超高速現象の動画像観察に応用する．応用として，フェムト秒レーザーパルスの偏光成分の伝播の3次元動画像観察とその解析，光学異方性媒質中のフェムト秒光パルスの伝播に対する偏光成分に応じたフェムト秒光パルスの波形変形の3次元動画観察とその解析，光デバイス内や材料中を進むフェムト秒レーザーパルスの異なる偏光の伝播の同時動画観察などを検討する．また，これらの物質や材料中を伝播する光の偏光伝播の動画像同時記録実験に適するように具体的に光学系を設計する．設計光学系を構築してフェムト秒光パルスの異なる偏光成分伝播の3次元様子の動画像の同時記録・再生実験を行う．
応用した結果を評価し，構成した光学系の問題点を明らかにするとともに，その問題点の解決方法を検討する．
研究協力者としてホログラフィの記録について高度な知識を持つ神戸大学 的場修教授，神戸大学招へい外国人研究者 夏鵬博士と議論ならびに助言を受けながら研究を進める．
|
| Causes of Carryover |
本研究課題の実験系として中心波長が400～550nmに含まれる光を発する超短パルスレーザーの使用についての検討が必要であることが研究期間中に分かった．
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の実験に，中心波長が400～550nmに含まれる光を発する超短パルスレーザーを購入する．
|
-
-
-
-
[Presentation] ストークスパラメーター伝播の動画像記録2014
Author(s)
舟橋旦矩, 伊藤誠也, 粟辻安浩, 裏 升吾, 西尾謙三
Organizer
Optics and Photonics Japan 2014
Place of Presentation
筑波大学東京キャンパス文京校舎（東京都文京区大塚3-29-1）
Year and Date
2014-11-05 – 2014-11-07
-
[Presentation] フェムト秒光パルスの複数偏成分同時動画像記録2014
Author(s)
舟橋旦矩, 奥田達也, 伊藤誠也, 粟辻安浩, 裏 升吾, 西尾謙三
Organizer
Optics and Photonics Japan 2014
Place of Presentation
筑波大学東京キャンパス文京校舎（東京都文京区大塚3-29-1）
Year and Date
2014-11-05 – 2014-11-07
-
-
