2014 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態計算への応用を指向した行列計算ライブラリの機能拡張とメニーコア向け最適化
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26286087
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 有作 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20362288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 三津夫 神戸大学, その他の研究科, 教授 (70358307)
星 健夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 線形計算 / 直交化 / 固有値問題 / 連立1次方程式 / 並列化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な成果は次の通りである。 (1) 通信回避型のQR分解手法として有望なCholeskyQR2法について誤差解析を行った。その結果,入力行列Aの条件数が10の8乗以下であれば,残差A-QR,直交性QTQ-Iのいずれもがマシンイプシロン程度に抑えられるという結果を得た。これにより,同アルゴリズムが数値安定となるための条件を理論的に明らかにした。また,同アルゴリズムをマルチコアプロセッサ及びメニーコアプロセッサXeon Phi向けに並列実装し,性能評価を行った。その結果標準的なQR分解アルゴリズムであるHouseholder QR法に比べて2倍以上の性能が得られることを明らかにした。 (2) 一般化固有値問題計算コードとして,3種の密行列ソルバ(ScaLAPACK,ELPA,EigenExa)を複合した数理ソルバを構築し,京コンピュータなどのスーパーコンピュータでの性能評価を行った。評価例題としては,研究分担者の星らが公開している行列ライブラリ(ELSES matrix library, http://www.elses.jp/)にある,電子状態計算の実問題データを用いた。その結果,従来意識されてこなかった,一般化固有値問題-標準固有値問題の変換部分にスケーリ ング上の問題があることがわかり,次世代(エクサスケール時代)に向けての指針となる知見が得られた。 (3) 本研究で開発している連立1次方程式ソルバの電子状態計算以外への応用として,地盤とその上の構造物に対する地震動解析への適用を行った。同問題を有限要素法で離散化して得られる連立1次方程式に対して,対角項スケーリングを前処理とした共役勾配法を適用したところ,条件数の異なる3つの行列に対していずれも解が得られた。また,32並列計算により約16倍の性能向上が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった直交化アルゴリズム及び固有値計算アルゴリズムの開発と理論解析について,いずれも成果が得られている。また,本研究の主な対象である電子状態計算以外の分野に対してもソルバを適用し,西夏が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,研究計画に沿って研究を推進する。来年度は特に,固有値計算アルゴリズムの超並列化と理論解析に重点を置く。また,国外の研究者との共同研究を進める。
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Causes of Carryover |
海外の共同研究機関への滞在予定が先方の都合で延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に海外の共同研究期間への滞在を行う。
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Research Products
(6 results)