2017 Fiscal Year Annual Research Report
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26287008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉野 雄二 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00135302)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代数学 / 可換環論 / 導来圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の研究目標は、Cohen-Macaulay加群のなす圏について、これまで研究代表者が行ってきた研究を圏論的見地からさらに深化させることにあった。 昨年度までの研究において、可換Noether環上の加群圏の一般導来圏における鎖複体のコホモロジーのある種の消滅定理を証明した。またその証明のアイデアを進化させて、一般導来圏における局所双対定理やAuslander-Reiten双対を与える原理に到達し、それらの厳密な証明を与えることに成功した。これらの成果については、単著及び大学院生との共著の形で合わせて4編の論文としてまとめた。 さらに、可換Noether環上の有限生成射影加群からなる鎖複体のなすホモトピー圏においてAuslander-Bridger型の安定理論を確立し、全反射加群(totally reflexive module)を与える条件の対称性問題について解決した。これに関しては、基本定理は次のようにまとめることができる。 定理. 全商環がGorenstein的であるような可換Noether環上の有限生成な射影加群からなる(一般的には左右に非有界な)鎖複体 X について、X が完全列であることとその双対複体 X* が完全列であることは同値である。 整域や被約な可換環は条件を満たすので定理が適用できる。また、このような場合には、可換環に対する太刀川予想の肯定的な証明もこの定理から得られる他、様々なホモロジー代数の問題へ適用可能な定理である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、可換Noether環上の有限生成射影加群からなる鎖複体のなすホモトピー圏においてAuslander-Bridger型の安定理論が完成した。この理論の直接の帰結として、全反射加群(totally reflexive module)を与える条件の対称性問題について解決することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
有限生成射影加群からなる鎖複体のなすホモトピー圏におけるAuslander-Bridger型の安定理論が完成したが、これと一昨年度までの研究である一般導来圏での双対原理との関係を考察すること、及びこの安定理論のDG化(次数付き微分加群への一般化)を考えることは理論をさらに強力にするために必要なことである。
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Causes of Carryover |
H29年度の基金分の経費において73,546円の残額が生じたのは、予定していた研究会への出席が本務の都合で出席できなかったことによる。H30年度にこれを繰り越し、今年度開催される研究会への出席に当てる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
30年度が最終年度であるため、記入しない。
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