2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26287012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田丸 博士 広島大学, 理学研究科, 教授 (50306982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 一博 広島大学, 理学研究科, 准教授 (00569832)
奥田 隆幸 広島大学, 理学研究科, 講師 (40725131)
阿賀岡 芳夫 広島大学, 理学研究科, 教授 (50192894)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 左不変計量 / 対称空間 / 部分多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) カンドルの研究から触発されて,コンパクト対称空間内の「対称可換」な部分集合の研究を行った。今年度は,その一般的な性質を明らかにし,特に具体例として古典型リー群の場合を調べ,その中の対称可換部分集合をほぼ決定することができた。この結果は,論文としてまとめる予定である。 (2) 今年度は10月に「広島幾何学研究集会 2017」を,また12月に「合宿セミナー 2017 in 大久野島」を開催した。それらの機会に,研究分担者および若手の研究協力者達による研究発表もあり,多くの参加者と今後の研究に関する打ち合わせをすることができた。なお本研究費からは,講演者および参加者の旅費や運営に必要な経費等の援助を行った。 (3) 6月に,Dartmouth College (米国) で開催された国際研究集会において招待講演を行った。この研究集会には左不変計量や部分多様体に関する著名な研究者が数多く参加していた。そのような場で,我々の研究成果を発表すると同時に,今後の研究に関する有益な議論をおこなうことができたことは,今後の研究の進展に極めて有益であった。 (4) 9月には,Universitat de Santiago de Compostela (スペイン) に滞在し,現地の若い研究者を対象とした連続講演を行い,非コンパクト対称空間内の部分多様体に関する有益な議論をすることができた。また3月には現地の若手研究者が来日し,広島大学で受け入れた。特に放物型部分群の Langlands 分解の可解部分の幾何学的な性質について議論を行い,現在も共同研究が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別な左不変リーマン計量の存在・非存在を決定づけるような不変量の構成までは至っていないが,その部分的な解答を与えることはできた。また,部分多様体に関しては,現在さまざまな研究が進行中である。さらに,左不変リーマン計量以外の幾何構造として,左不変な擬リーマン計量やシンプレクティック構造の研究も進行中である。いずれも論文としてまとめるところまでは至っていないが,部分的な結果は得られており,おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに研究に取り掛かっている,非コンパクト対称空間への余等質性1作用の研究,放物型部分群の可解部分の幾何学的性質に関する研究,左不変擬リーマン計量の研究,左不変シンプレクティック構造の研究を,研究協力者達と共同で同時進行で推進する。それとともに,リー代数の不変量の構成を目指した研究も行いたい。
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Causes of Carryover |
研究員を雇用しているが,その正確な金額は年度を過ぎないと確定しないため,残金に多少の余裕をもたせた。そのために僅かだが次年度使用額が生じた。次年度使用額は旅費として使用する予定である。
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