2017 Fiscal Year Annual Research Report
グラフィクスとカンドル理論の観点からの4次元トポロジーの研究
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26287013
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鎌田 聖一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60254380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 明夫 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00112524)
金信 泰造 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00152819)
遠藤 久顕 東京工業大学, 理学院, 教授 (20323777)
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50223871)
安井 弘一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70547009)
佐藤 進 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90345009)
大城 佳奈子 上智大学, 理工学部, 助教 (90609091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トポロジー / 曲面結び目 / グラフィクス / カンドル / 4次元トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
カンドルとそのホモロジー理論の一般化が様々な観点で展開されている。多重共役双カンドルは、ハンドル体結び目や4次元空間内のフォームという2次元多面体と相性がよく、彩色不変量に利用が可能である。大城佳奈子(分担者)を含む複数の研究者の協力を得て、多重共役双カンドルのホモロジーを構成し、双カンドルの2次元(または3次元)コサイクルから、その双カンドルに付随した多重共役双カンドルの2次元(または3次元)コサイクルを導く方法を得た。この方法がうまく働くための条件を明確に与えたので、今後はその条件を満たす具体例の構成が課題となる。この方法を用いてハンドル体結び目や4次元空間内のフォームの不変量を構成することができる。 レフシェツファイバー空間のモノドロミーの研究などで交換子関係式は重要な研究対象である。doodle図式という平面上の閉曲線から自由群の交換子関係式を導く方法が、R. Fennの先行研究によって知られていたが、交換子関係式に関する基本操作(変形)とdoodle図式における基本操作の間の対応を与えることに成功した。doodle図式をチャートと見なして、モノドロミーに与える影響を読み取ることが、この議論の本質であり、グラフィクスの有効性が示される例となった。 平成29年5月24日~26日に京都大学数理解析研究所で研究集会「Intelligence of Low Dimensional Topology」を開催した。世話人は大槻知忠(分担者)と伊藤哲也で、11件の講演と約65名(外国人5名を含む)の参加者あった。平成28年11月24日~26日に大阪市立大学で研究集会「4次元トポロジー」を開催した。世話人は鎌田(代表者)、安井弘一(分担者)、松本堯生(連携研究者)で、17件の講演と54名(外国人6名を含む)の参加者があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重共役双カンドルについて、ホモロジーを構成し、双カンドルの2次元(または3次元)コサイクルから、多重共役双カンドルのコサイクルを導く方法を明示的に与えたことは、不変量を構成するというこれからの研究で有効に働くと思われる。 doodle図式から自由群における交換子関係式を導く方法について、図式の変形と関係式の変形の対応が明らかになったことで、交換子関係式を図式を用いて研究する手法の基礎が整ったと言える。曲面上のdoodleを、平面上に仮想交差を許した図式を用いた仮想doodleとして表す手法もすでに完成している。 遠藤久顕(分担者)と研究代表者で進めてきたチャートを用いたレフシェツファイバー空間の研究も、超楕円的レフシェツファイバー空間のモノドロミーのチャート表示を完成させることができ、安定同値類の分類をチャートのある種の頂点数を数えるという不変量に帰着したことは大きな成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり、これまで得られた研究成果を論文としてまとめ、学術雑誌へ投稿するとともに、研究集会で口頭発表を行うなど成果発表に努める。 カンドルにテンソル積の概念を導入し、曲面絡み目に接着する1ハンドルの分類をカンドルのテンソル積の言葉で記述することができる。この研究成果は口頭発表していたが、論文を作成中であり、これを本年度に完成させて学術雑誌へ投稿する。 はめ込み曲面結び目の2重点の近傍を固定するイソトピーの存在性と、その応用として、 はめ込み曲面結び目のダイアグラムの基本変形、はめ込み曲面ブレイドのマルコフ型定理に関する研究成果も、論文を作成して投稿する。 多重共役双カンドルのホモロジーを構成し、双カンドルの2次元(または3次元)コサイクルから、多重共役双カンドルの2次元(または3次元)コサイクルを導く方法を得た。この方法がうまく働くための条件を満たす具体例の構成を試みる。さらに、この方法を用いてハンドル体結び目や4次元空間内のフォームの不変量を構成する。 一般種数の曲面上のdoodle図式の基本操作と交換子関係式の基本操作を導入し、それらの間の関係を明確にすることで、グラフィクスを交換子関係式の研究へ応用する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外の研究者の招へいが実施できなかったため。
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