2016 Fiscal Year Annual Research Report
生命科学に表れる散逸系数理モデルの数学的基盤の構築と応用
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26287025
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 国望 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40243547)
村川 秀樹 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (40432116)
神保 秀一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201565)
岩見 真吾 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90518119)
四ツ谷 晶二 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60128361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反応拡散方程式系 / FitzHugh-Nagumoモデル / フロント解 / 安定性解析 / パターン形成 / 特異極限 / 分岐構造 / 感染症モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の森田は次の成果をあげた。 1)活性因子―抑制因子の反応拡散系モデルとして重要なFitzHugh-Nagumoモデルにおいて、抑制因子の分解速度を表すパラメータの無限大極限では相転移のモデルのAllen-Cahn方程式に形式的に近づく。このパラメータが十分大きい場合について、拡散係数の比を変えることによって、Allen-Cahnと異なる豊かな解構造があることを数学的に証明した。2)細胞極性のメカニズムを説明する質量保存の反応拡散系で表される概念的モデルが知られている。その具体的な方程式系について、1次元の区間におけるスパイク状の安定定常解の特異極限を研究した。特異極限では、解はディラックのデルタ関数に収束することを証明し、さらに適当なスケーリングによる極限形は有界な関数に近づき、その関数が正値をとる区間では放物線の一部になることを証明した。3)2)の質量保存則をもつ反応拡散系を含むあるクラスについて、定常問題の解の線形化安定性に関して、固有値比較の手法を神保と共同して拡張した。この手法により、システムの線形化作用素の固有値の正負を調べる問題は、非局所項を持つがスカラーの自己共役な作用素の固有値の正負を調べる問題に帰着できる。以上の成果は学術雑誌に投稿中である。 四ツ谷は、質量保存則をもつ反応拡散系で、上記のモデルとは異なる場合の定常問題について、楕円積分による解表示の解析から大域的分岐構造を解明した。 研究分担者の村川は、非線形拡散系である交差拡散系について、未知変数を増やして線形拡散で近似する手法を用いて交差拡散の離散化を線形拡散系の問題に帰着させ、有限体積法を用いた数値計算法を確立した。 岩見はその共同研究者と、SHIVウイルスが細胞内で起こす感染について、実験データの解析からウイルス感染をより正確に表現する改良モデルを提案し、実験データに合うことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と分担者は、投稿中の論文も数えると多数の研究成果があがっている。これらの成果の中には、予想を超えた新しい発見もあった。このように研究の進捗状況は順調で当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は順調に進んでいるので、今まで得られた研究成果をさらに発展させることに加え、以下の課題に重点を置いて進めて行く。 1)現在、境界上で反応が起こる細胞極性モデルの数学的研究を進めており一部をまとめている。これをさらに発展させ研究成果として完成させる。 2)HIVおよびSHIVの感染モデルについて空間的な効果をいれたモデル構築を行い、それを解析し、これまでのモデルと様々な観点から比較検討する。 さらに、最終年度となるので、これまでの研究成果を国内外の学会や研究会で積極的に発表していく。学会や研究集会の参加者と議論し、情報交換する機会を増やすことによって、より客観的な視点から研究成果を評価し、必要とあれば研究結果のさらなる改良と発展に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究集会に参加するためや共同研究のために確保しておいた旅費が、相手方で負担してもらえることになった。そこで浮いた分を、次年度に招待を受けている国際学会の旅費に回すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月に中国で開催される国際研究集会と7月の末にスロバキアで開催される国際研究集会に招待されているのでその旅費に当てる計画である。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Reelin transiently promotes N-cadherin-dependent neuronal adhesion during mouse cortical development2017
Author(s)
Y. Matsunaga, M. Noda, H. Murakawa, K. Hayashi, A. Nagasaka, S. Inoue, T. Miyata, T. Miura, K. Kubo, K. Nakajima
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 114
Volume: 8
Pages: 2048-2053
DOI
Peer Reviewed
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