2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26287027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 正幸 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50425401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多天体補償光学 / 大気トモグラフィー / 次世代30m望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度はすばる望遠鏡に試験観測装置 RAVEN を取り付けて、多天体補償光学系の実証試験観測を 2 回にわたって行った。3 個の自然ガイド星と 1 個のレーザーガイド星を用いたトモグラフィー推定により 2 個のターゲット天体に対する多天体補償観測が実際に出来ることが確認できた。我々は特に広視野の補正を可能にするトモグラフィー推定の新しい手法として複タイムステップの情報を用いたトモグラフィー推定法を提案している。新しい手法では大気揺らぎの各層の高さと強度、移動速度(風速)と移動方向(風向)の情報が必要となるが、RAVEN の試験観測で得られた波面センサーのさまざまな相関を取ることでこれらの値を必要な精度で推定できることを実証した。これらの推定のアルゴリズムおよび複タイムステップのトモグラフィー手法のアルゴリズムを RAVEN の制御計算機に組み込み、実験室の較正系を用いて実際に模擬観測試験を行い、補償性能の向上が見られることを確認した。2015年の6月に予定されている試験観測において新しい推定手法を用いた試験観測を行い、実際の天体の観測において補償性能の向上が見られるかどうかを調べる。 次世代 30m 望遠鏡 (Thirty Meter Telescope) での複タイムステップの推定法の性能評価のため、TMT の広視野観測での大気揺らぎの影響を模擬する光学系の実験室内での構築を進めた。現状では 3 枚の位相板で揺らぎが加えられた波面を 1 個の波面センサーで測定する光学系の構築まで完了した。2015 年度には 2 枚の位相板の追加と 7 台の波面センサーの追加により、TMT で想定される多天体補償光学系の設定を模擬する光学系を構築し、その性能評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複タイムステップのトモグラフィーの実行に必要となる大気揺らぎの高さ、強度、移動速度、移動方向をそれぞれ推定する手法を確立し、そのアルゴリズムを既に RAVEN を制御する計算機の中に実装している。また複タイムステップのアルゴリズムも制御計算機に実装しており、すでに実験室での試験系では動作確認が済んでいる。2015 年 6 月に予定されている試験観測に向けて順調に準備が進んでおり、試験観測が無事に遂行できれば天体の観測における性能の評価が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず 2015 年 6 月の試験観測において複タイムステップのアルゴリズムを用いた実際の観測を行い、性能の評価をする。また RAVEN のこれまでの観測結果から、望遠鏡などに伴う振動の成分が波面センサーでの測定で検出されており、この影響の評価と、将来の装置での対処方法について検討を行う。TMT を想定した実験室での模擬補償光学系については必要な大気位相板と波面センサーの実装を進め、2015 年度中には TMT の広い視野での補償を模擬する光学系を完成させる。
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Causes of Carryover |
広視野補償光学の実験光学系の組み上げに必要な光学部品について仕様値の見直しを行ったため、購入を 2015 年度に延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに購入した光学部品を用いて実験光学系の組み上げを行い、仕様値の確認を行い、2015年度に必要な部品の購入を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] TMT-AGE: wide field of regard multi-object adaptive optics for TMT2014
Author(s)
Akiyama, Masayuki; Oya, Shin; Ono, Yoshito H.; Takami, Hideki; Ozaki, Shinobu; Hayano, Yutaka; Iwata, Ikuru; Hane, Kazuhiro; Wu, Tong; Yamamuro, Tomoyasu; Ikeda, Yuji
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9148
Pages: 914814-14
DOI
Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Multi-object adaptive optics on-sky results with Raven2014
Author(s)
Lardiere, Olivier; Andersen, Dave; Blain, Celia; Bradley, Colin; Gamroth, Darryl; Jackson, Kate; Lach, Przemek; Nash, Reston; Venn, Kim; Veran, Jean-Pierre; Correia, Carlos; Oya, Shin; Hayano, Yutaka; Terada, Hiroshi; Ono, Yoshito; Akiyama, Masayuki
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9148
Pages: 91481G-14
DOI
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[Journal Article] ULTIMATE-SUBARU: project status2014
Author(s)
Hayano, Yutaka; Akiyama, Masayuki; Hattori, Takashi; Iwata, Ikuru; Kodama, Tadayuki; Lai, Olivier; Minowa, Yosuke; Ono, Yoshito; Oya, Shin; Takiura, Koki; Tanaka, Ichi; Tanaka, Yoko; Arimito, Nobuo
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9148
Pages: 91482S-8
DOI
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[Journal Article] ULTIMATE-SUBARU: simulation update2014
Author(s)
Oya, Shin; Hayano, Yutaka; Lai, Olivier; Iwata, Ikuru; Kodama, Tadayuki; Arimoto, Nobuo; Minowa, Yosuke; Akiyama, Masayuki; Ono, Yoshito H.; Terada, Hiroshi; Usuda, Tomonori; Takami, Hideki; Nishimura, Tetsuo; Takato, Naruhisa; Tomono, Daigo
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9148
Pages: 91486G-8
DOI
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