2015 Fiscal Year Annual Research Report
加圧環境を用いたニュートリノレス二重ベータ崩壊探索実験
Project/Area Number |
26287035
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸藤 祐仁 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (60396421)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) バルーンの製作は基本的にスーパークリーンルームで行われるが、内部に持ち込んだ道具や作業員が持ち込む埃が、放射性不純物源となり表面汚染の原因となる事が判明している。このため、レーザーを用いた微粒子可視化装置を用いて埃の原因を調査した。この測定により、再使用したクリーンスーツ、クリーンパックされているのもの超純水洗浄を行っていない手袋、クリーンルーム用の不織布などが埃の原因となり、フィルムや検出器に接するものはすべて超純水で洗浄する必要がある事が判明した。その他、埃の発生しやすい体の動きや、ゆっくり動くことが埃の発生を防ぐことなど、クリーンルーム内作業における環境保持についてのデータを蓄積した。 (2) 表面に埃が付着したフィルムについての洗浄方法についての開発を進めた。しかし、各種洗浄前後において顕微鏡による埃の付着や放射性不純物の測定を行ったものの、現在効果的な除去方法が見つかっていない。埃が付着する前にフィルムと同素材のカバーを付けて製作を進めるなどの対策が必要であると考えられる。 (3) PENフィルムを用いてテストバルーンを製作した。素材および製作の特殊性により、企業による製作は受け入れてもらえなかったため、スーパークリーンルームに溶着装置など一式準備し、学生と共に製作を行った。当初直径40cmのバルーンを製作予定だったが、フィルムの曲線の形状と溶着装置の制限により小さなものを製作するのは不可能であることが分かったため直径80cmのバルーンを製作した。また、この製作過程において、溶着時の溶着装置の圧力の掛け方により溶着にムラができやすいこと、そしてムラが出来ているところはリークが出来ている頻度が高いことが分かった。これらを改善するため、小さな溶着幅で溶着し、力をかけやすい溶着装置の開発、およびリーク箇所の補修についての開発を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り進展しているものの、企業に依頼を予定していたテストバルーン製作を断られたため、研究者自身で溶着作業などを行うことになり道具の調達や作業手順の構築に手間取ることになった。また、テストバルーンを製作している中て手探りで溶着技術を確立させてきたため、リークによる補修が必要になったことなどによりもう一度テストバルーンを製作する必要がでてきたことから、おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、製作環境の高度のクリーン化を備えた上でもう一度テストバルーンの製作を行う。また、より容易である球状ではない小さな袋の製作を行い、テーブルトップサイズの測定機器により、液体シンチレータと発光フィルム中での放射性不純物の発光の違いを確認する。また、3.4気圧下におけるキセノン溶解液体シンチレータの密度測定やシミュレーションによる感度計算を行う。
|
Causes of Carryover |
企業に一括でテストバルーン製作を依頼したが断られたため研究者自身で製作することになり、製作環境の構築や製作装置の調達のための時間差が生じた。さらに打ち合わせおよび製作現場確認などで計上した旅費についても、製作装置の調達のための旅費となるためこちらについても次年度の使用に変更になった。また、テストバルーンの製作についても環境改善などの対策を施した後の2個目の製作が次年度となった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由についての対策はすでに進んでおり、27年度に行う予定としていたテストバルーンの製作を行う予定となっている。
|