2014 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー長基線における電子ニュートリノ振動研究
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26287043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 雅宏 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (80345842)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子ニュートリノ / 原子核乾板 / OPERA実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的であるOPERA実験における電子ニュートリノ探索において最も重要な課題は通称0mu反応と呼ばれるミュー粒子を伴わないニュートリノ反応の統計数向上である。0mu反応は主にミューニュートリノの中性カレント反応及び電子ニュートリノの反応である。これらの反応を原子核乾板ターゲット中で反応点を特定することが必要になる。平成26年度中は主にこれらの0mu反応の統計数向上に努めてきた。特にタウニュートリ解析においてもこの0mu反応は重要であるために、電子ニュートリノ探索と区別せずに反応点の同定作業を行っている。特に現在は2nd brick と呼ばれる、シンチレータバー検出器により予想される2番目に可能性の高いECCターゲット(brick)の解析が中心である。 一度反応点が同定されたものに対して、以前の少数統計でのpublication 時と同様に CS shower hint と呼ばれる電子候補を抽出するためのトリガーをかけて、トリガーにかかった反応を各解析グループにおいて同定作業を組織している。統計の向上に関しては、概ね終了に近づいてきており、今後はシミュレーションを含む解析作業に軸足を移していく。 解析作業の第一段階として反応点同定されたサンプルのバイアスを理解する作業が必要になる。電子ニュートリノの荷電カレント反応とミューニュートリノの中性カレント反応とを区別しうる多くのパラメータを使った multivariate 解析において電子ニュートリノらしさを BDT(Boosted Decision Tree)を使って評価し、バイアスの理解の為の指標として用いる事を画策している。新しいモンテカルロシミュレーションの枠組みにて、電子ニュートリノ反応の反応点同定効率のより良い評価に期待できる。 今後は解析の方に力点を移しつつ最後までの統計を増やす作業も継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の主たる目的はニュートリノ反応同定数の向上であり、そのような観点から概ね順調と言える。また、反応点同定作業から一連の電子ニュートリノを濃縮するトリガーを用いての更なる解析工程も、日本及びイタリア、スイスのグループに対しても一律な解析を組織して継続中であり、特に目的を遂行する上での障害は見られない。 期待される反応数と発見された反応数に対して当初若干の不一致が見られたが、解析が進むにつれて差異は小さくなりつつある。 また、期待値の計算方法としてPoT(Proton on Target)とターゲット質量から計算しうる絶対的な評価(absolute normalization)に対して、解析対象となる0mu反応の解析数から計算した相対的な評価(relative normalization)に切り替える事で多くの系統誤差をキャンセルしてより良い期待値との一致を得られることが期待されており、現時点の不一致は大きな問題とは考えられないことからも、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
反応数の向上に関してもまだ完了とまでは行かない状況であるので、今後27年度も引き続き統計数向上の為の努力は継続する。これまで以上に困難な反応が選択的に残ってきており、1反応当たりの費やされる労力は必然的に大きくなるものと思われる。 今後の解析方針に関しては、電子ニュートリノの反応点検出効率を評価するためにmultivariate analysis を導入してモンテカルロシミュレーションとの比較により評価していく作業を進めていく。 また、手持ちのサンプルの系統誤差を減らすための、 normalization の方法を過去の absolute normalizationから relative なものに切り替えて期待値との比較等を行う方向で解析を推進していく。
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Causes of Carryover |
原子核乾板の解析には理学研究科素粒子宇宙物理学専攻基本粒子研究室の原子核乾板解析システムを利用しているが、本施設はOPERA実験全体の解析を担うもので、本研究以外の研究課題にて別の研究者が雇用している研究補助員にて26年度は十分な施設の運用が出来た為に、本研究専任の研究補助者を雇用せずに済んだ為。2重に人員を雇用するような無駄を省いた事により次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は本研究課題にて研究補助者を雇用する事とする。共同利用施設の効率的な人員の確保の観点からの調整措置であり、27年度に概ね消費される。また、27年度も引き続き解析システムの運用は必要であり、その為の予算として使用する。
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[Journal Article] Study of hadron interactions in a lead–emulsion target2014
Author(s)
Hirokazu Ishida, Tsutomu Fukuda, Takafumi Kajiwara (Toho U.), Koichi Kodama (Aichi U.), Masahiro Komatsu (Nagoya U.), Tomokazu Matsuo (Toho U.), Shoji Mikado (Nihon U., Narashino), Mitsuhiro Nakamura (Nagoya U.), Satoru Ogawa (Toho U.), Andrey Sheshukov (Dubna, JINR) et al..
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Journal Title
PTEP
Volume: 9
Pages: 093C01
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Measurement of the TeV atmospheric muon charge ratio with the complete OPERA data set2014
Author(s)
N. Agafonova (Moscow, INR), A. Aleksandrov (INFN, Naples), A. Anokhina (SINP, Moscow), S. Aoki (Kobe U.), A. Ariga, T. Ariga (Bern U., LHEP), D. Bender (Middle East Tech. U., Ankara), A. Bertolin (INFN, Padua), C. Bozza (INFN, Salerno & Salerno U.), R. Brugnera (INFN, Padua & Padua U.) et al..
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Journal Title
Eur.Phys.J.
Volume: C74
Pages: 2933
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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