2015 Fiscal Year Annual Research Report
ステライルニュートリノ存在の検証実験ー磁場印加型エマルション検出器の開発ー
Project/Area Number |
26287049
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
渋谷 寛 東邦大学, 理学部, 教授 (40170922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三角 尚治 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80408947)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 素粒子実験 / ニュートリノ / エマルション / 原子核乾板 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度照射したエマルション検出器(標的質量約2kg、T60 Run 4)のフィルムを超高速飛跡読取装置HTSでスキャンし、2本以上の飛跡が交わる条件での予備的な解析により、9個のバーテックス検出に成功した(期待値は約10個)。電離損失(飛跡の濃さ)と運動量(多重電磁散乱)の2次元プロットから反跳陽子と荷電カレント反応で放出されたミューオンを観測できた。さらに多段シフター導入により、下流へ貫通する粒子飛跡に時間情報が付与でき、T2KビームモニターINGRID検出器の飛跡と1シグマ8.5秒で対応がとれた。 続いて水を標的物質とした反ニュートリノ・原子核反応研究のため、水槽中に真空パックしたフィルムを挿入して標的兼検出器を構成し、保冷庫に収めてSSフロア下流側でビーム照射実験を実施した(標的質量約1.5kg、T60 Run 5)。照射終了後直ちに、現像して予備的な解析をしたところ、6個の事象を検出できた。(このうち、2個は水標的領域、4個は鉄板・検出器領域である。)一方、フィルムのたわみも観測され、エマルション検出器の構造を検討するための資料を得た。 さらに高統計の反ニュートリノ反応を集めるため、新型乳剤50.4kgを製造した。12個の鉄板ECCからなるエマルション検出器(総標的質量60kg)を製作して大型多段シフターと共に冷蔵庫に収め、SSフロアINGRID上流に設置して、2016年1月末からビーム照射実験を開始した(T60 Run 6)。この実験で反ミューニュートリノ反応約5000個、反電子ニュートリノ反応約35個がエマルション検出器内に蓄積される予定である。 また、シミュレーションを用いた研究では、GENIEで反ニュートリノ反応を生成し、Geant4でエマルション検出器中の飛跡再構成や選別条件を再現して検出効率を求め、反ニュートリノ反応の全断面積を求めることを試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究活動により、高感度新乳剤の製造、高感度フィルムの塗布、鉄板との積層構造ECCからなるエマルション検出器の製造、J-PARCニュートリノ実験施設への設置、ビーム照射実験の実施などが可能であると確認できた。 前年度末から今年度にかけて2回の小規模なビーム照射実験の解析を行い、それぞれ、9個、6個のバーテックス(ニュートリノ反応候補)を検出することに成功した。特に、反ニュートリノ・水反応のエマルション検出器による観測は初めてである。 さらに、数千個の反ミューオンニュートリノ反応、数十個の反電子ニュートリノ反応の検出を目指して新乳剤の製造、フィルムの塗布、鉄板・フィルム交互積層ECCからなるエマルション検出器の製造、大型シフターと共に冷蔵庫に収納してニュートリノ実験施設SSフロアに設置、など様々なことが達成できた。 また、シミュレーションを用いた研究においても、GENIE、Geant4を用いて、照射した反ニュートリノビームのフラックスからフィルムに記録された飛跡再構成の選別条件などを組み込み、反ニュートリノ反応の検出効率を求めた。その結果を用いて、反ニュートリノ反応断面積の予備的な値を見積もることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はRUN 4とRUN 5の解析を継続し、RUN 6の取り出した1個のECCのスキャンと解析、RUN 6の残りの11個のECCの照射実験の継続、取り出し、現像、スキャン、解析を推進する。 磁場印加型エマルション検出器の構造の研究では低密度物質のスペーサーとして、有力な候補のロハセル板を購入したので、フィルムとの接触テストを行い、紙やプラスティック板を挟むなどして長期間の実験においてもフィルムが黒化しない方法を確立する。また、将来のニュートリノ実験 SHiPに向けたCERNのビームテスト実験などに参加して、フィルムにたわみの少ないエマルション検出器の構造を研究する。
|
Research Products
(18 results)
-
[Journal Article] A Test Experiment to Develop a Neutrino Detector with Emulsions for Neutrino-Nucleus Cross Section Measurements at J-PARC2015
Author(s)
S. Aoki, T. Fukuda, N. Kitagawa, M. Komatsu, T. Matsuo, S. Mikado, N. Naganawa, M. Nakamura, Y. Nakatsuka, S. Ogawa, O. Sato, and H. Shibuya
-
Journal Title
JPS Conference Proceedings
Volume: 8
Pages: 023004 1-6
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Neutrino Research Program with Nuclear Emulsion at J-PARC2015
Author(s)
Tsutomu Fukuda, Hiroshi Shibuya, Satoru Ogawa, Tomokazu Matsuo, Yusuke Morimoto, Shota Iori, Hitoshi Oshima, Tsuneaki Inoh, Hajime Mizusawa, Shigeki Aoki, Satoru Takahashi, Kyohei Yamada, Osamu Sato, Naotaka Naganawa, Nobuko Kitagawa, Shoji Mikado
Organizer
The 1st International Conference on Advanced Imaging (1st ICAI 2015)
Place of Presentation
National Center of Science (Chiyoda-ku, Tokyo)
Year and Date
2015-06-19
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Performance of T60 Nuclear Emulsion2015
Author(s)
Yusuke Morimoto, Hiroshi Shibuya, Satoru Ogawa, Tsutomu Fukuda, Tomokazu Matsuo, Shota Iori, Hitoshi Oshima, Tsuneaki Inoh, Hajime Mizusawa, Shigeki Aoki, Satoru Takahashi, Kyohei Yamada, Osamu Sato, Naotaka Naganawa, Nobuko Kitagawa, Shoji Mikado
Organizer
The 1st International Conference on Advanced Imaging (1st ICAI 2015)
Place of Presentation
National Center of Science (Chiyoda-ku, Tokyo)
Year and Date
2015-06-19
Int'l Joint Research
-
-