2016 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Study of High-Energy Universe through PeV Sources
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26287051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80402759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 高エネルギー天体 / 宇宙線 / ニュートリノ / 理論天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) GeV から PeV に伸びる宇宙線のスペクトルを AMS-02 実験が精密に観測し、ヘリウムと炭素のスペクトルが水素のスペクトルよりもハードであること、ヘリウムと炭素のスペクトルは同じであること、また、どれもが200GeVに折れ曲がりがあること、が分かった。それらを説明するには、宇宙線がスーパーバブルのコアのような化学的に非一様な環境で加速されたと考える必要があることを議論した。 (2) PeV 天体の候補である中性子星連星の合体は、r過程元素の有力な起源の候補でもある。しかし、もしそうだとすると、中性子星連星合体の飛散物質の残骸において r過程元素がほとんど粒子加速されず、r過程元素の宇宙線が異常に弱くなければいけないことを初めて指摘した。これは、超新星残骸の逆行衝撃波での粒子加速が非常に非効率であること、あるいは、中性子星連星の合体はr過程元素の起源ではないことを意味する。 (3) PeV 天体の候補である ultra-long GRB(超長期ガンマ線バースト)は起源が分かっていないが、最近非常に明るい超新星が付随していることが判明した。この超新星を説明できるモデルとして、青色超巨星の崩壊、生まれたてのマグネター、白色矮星の潮汐破壊イベントが可能性としてありえることを議論した。 (4) 超大質量星が重力崩壊してジェットを放出すると、ジェットが外層を通過する間にエネルギーを外層に渡し、非常に明るい超新星のように輝くことを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請段階で設定した研究計画はほぼ完成しており、現在論文を校正中である。 それに加えて、AMS-02 が新しい結果を出してきたので、(結果を出してくるのは想定の範囲内であるが、結果の内容は想定できないので)、それに柔軟に対応して、観測の理論的解釈の論文を出すことができた。 r過程元素の宇宙線の研究は、新たに重要になってきた重力波分野との全く新しい境界領域である。 イスラエルの研究者との共同研究も進めることができ、ultra-long GRBの論文として出版することに成功した。 超大質量星からのジェットの研究は、初代星・大質量ブラックホール分野との全く新しい境界領域である。
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Strategy for Future Research Activity |
IceCube が観測した高エネルギーニュートリノの源に対するガンマ線による制限の論文は、現在、ガンマ線の複数回の相互作用を考慮に入れて、論文を書き上げたところで、イスラエルの共同研究者に送って、現在校正中である。 それに加えて、重力波が観測されたことにより、銀河の中に合体した後の回転しているブラックホールが 1-10万個ほど存在していることが分かってきたので、それらが PeV 宇宙線と関係があるのかどうかを調べる必要性が出てきた。現在一部は論文として投稿している。それに関連した論文(孤立ブラックホールがX線新星になる可能性、ブラックホールの降着円盤内での PeV 宇宙線の加速、またX線源としての観測可能性の検討)を投稿・準備中であり、シリーズ的に研究を進めて成果を論文にしていく予定である。
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Causes of Carryover |
主には科研費研究員を雇用するため。単純に各年の交付額のみでは研究を雇用することができないため、雇用する年に使用額を集中させる必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主には科研費研究員を雇用
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] 宇宙線観測と天体物理学2017
Author(s)
井岡邦仁
Organizer
物理学会 宇宙線・宇宙物理領域シンポジウム
Place of Presentation
大阪大学 豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
Invited
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