2016 Fiscal Year Annual Research Report
ソレノイド型蓄積磁石への3次元らせん軌道によるビーム入射の実証試験
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26287055
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
飯沼 裕美 茨城大学, 理工学研究科, 准教授 (60446515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 哲 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 名誉教授 (00150011)
中山 久義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 名誉教授 (20011728)
佐々木 憲一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 准教授 (70322831)
深尾 祥紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (80443018)
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 3次元らせん軌道 / 電子ビーム3D可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はJ-PARC ミューオンg-2/EDM実験の実現に向けた必須の研究開発要素である。前例のない3次元らせん軌道入射方式を実証するため、オリジナル実験の蓄積リングの1/3スケールの小型ソレノイド磁石を設置した電子銃のビームラインを構築した。具体的な項目は、1) 小型ソレノイド磁石の製作、2) テストビームラインの建設、3) ビームの位相空間の測定モニター装置の開発、4) パルス磁場キッカー装置を導入、5) 蓄積領域のビーム軌道を高精度に制御するために弱収束磁場の調整を行う、である。平成28年度までに、上記計画の1), 2) を完了し、電子銃からのDCビームを蓄積槽まで輸送、蓄積槽内部のソレノイド磁場中で電子ビーム軌跡を確認した。5) に挙げた弱収束磁場調整機構の試運転も完了している。3) に関し、蓄積槽に窒素ガスを充填し、電離発光させ、電子ビーム軌跡の3次元可視化に成功した。これは、蓄積リング内のビーム運動を1視野に収めるという、コンパクト貯蔵リングの特徴を生かす手法であるが、画像品質の向上が課題として残っている。項目4)に関しては、計画よりも遅れている。その理由はDC電子ビーム運転時のビームの安定性が悪く、ビームライン初期調整に時間がかかったことである。全長1mほどの輸送ラインの3か所にビームモニター用の蛍光板、ステアリング磁石を3か所設置して対応した。更に、本研究の根幹である、3次元らせん軌道の概念設計を論文にまとめ、"Tree-dimensional spiral injection scheme for the g-2/EDM experiment at J-PARC", H.Iinuma et. al, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 832 (2016) 51-62.に出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では早い段階でパルス電子ビームの利用を考えていたが、DC電子ビーム運転時のビームの安定性が悪く、ビームライン初期調整に時間がかかった。当初の計画にはなかった装置の設計・導入を行うことでビーム制御の自由度を高める必要があった。具体的には、1)全長1mほどの輸送ラインの3か所にビームモニター用の蛍光板、ステアリング磁石を3か所設置して対応した。2) 小型ソレノイド磁石の架台を改造して位置調整機構を追加すること、である。 また、蓄積槽に窒素ガスを入れ、電子ビームによる電離発光を可視化することでビームを3次元解析する手法をもちいているが、蓄積槽内で発光の乱反射がおこり、真のビームとの区別がつきにくく、また、乱反射の発光の方が強くなり、3次元画像の品質の改善に取り組んでいる最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究項目は4つある。 1)蓄積槽内の壁を電子ビームによる発光が乱反射してしまい、高感度カメラ画像の定量的な解析のバックグランドになる問題を解決するため、蓄積槽内部に反射を防ぐコーティングを施すと同時にソレノイド軸方向の位置を示す印を入れる改造を行う。2)電子ビームをパルス化するための電場チョッパーを導入する。設計は完了しているので比較的容易な作業だが、ビーム制御パラメータの再調整が必要になる。3)キッカー装置の導入。電場チョッパーとキッカートリガーと時間同期を精度よく行うため、マスター時計の導入も行う。4)蓄積領域のビーム軌道を高精度に制御するために弱収束磁場とキッカーのパラメータの調整を行い、入射効率を定量的に評価する。 以上の項目を行いつつ、実験結果の発表を国内外の学会で行うと同時に論文執筆も行う。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画よりも遅れているため、電子銃パルス化に伴う必要な物品をH29年度に設計・購入することにした。具体的には、(1)電子銃ビームパルス化装置(静電チョッパー)、(2)蓄積槽内にインストールするキッカーコイル(パルス磁場発生装置)、(3)静電チョッパーとパルス磁場発生装置のマスタークロック調整機構、(4)蓄積槽内部の乱反射吸収シートの購入、である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の(1)~(4)の項目にかかる物品購入、および、静電チョッパーをインストールする際のビームライン再アライメント費用に充てる。また、国内外の学会で成果発表をおこなうための参加費・旅費に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)