2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26287067
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
是枝 聡肇 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40323878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野竹 孝志 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (70413995)
藤井 康裕 立命館大学, 理工学部, 助教 (50432050)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子常誘電体 / 第二音波 / ソフトモード / 強誘電性 / テラヘルツ波 / 光源開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,1.熱波動の光励起法の効率化と,2.高強度テラヘルツ波レーザーの開発,に着手した. 1の熱波動の光励起方法については,本研究開始以前においては変形サニャック干渉計を励起光側と検出光側のそれぞれに用いていた.この方法では励起光パルスが自動的に同期された形で分離されるため,分離されたビームをレンズで試料内に集光することによって,容易に試料内部に干渉縞を形成することができた.また,検出側にも変形サニャック干渉計を用いることによって,検出光に対して自動的に位相が固定された自己安定化光ヘテロダイン検出が実現された.しかし,干渉縞の間隔,すなわち,熱波動の波長を変更する場合には励起側のみならず,検出側のサニャック干渉計の再調整を必要としていたため,熱波動周波数の掃引が容易ではなかった. そこで,空間光変調器を用いて,ゼロ次光を抑制する回折格子を映写し,その像を試料内部に結像させる手法を新たに導入した.これによって,(1) ポンプ光とプローブ光の位相整合条件(ブラッグ条件)が厳密に満たされ,(2) 光ヘテロダイン検出の調整が自動的に実現され,さらに,(3) 熱波動の波長がPCからの操作で瞬時に変更できるようになった. 2の高強度テラヘルツ波レーザーの開発については,ニオブ酸リチウム結晶を用いたポラリトンの誘導ラマン過程によって,高効率な注入同期型光パラメトリック発生が実現された.出力されるテラヘルツ光の強度は約10kWにも及び,当初の目標を達成することができた.また,周波数のチューニング範囲は本研究に置いて本質的に重要である,量子常誘電体のソフトモードの周波数領域をカバーできており,試料の厚さがある程度薄ければ透過率の測定も可能となることが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱波動の光励起方法が効率化された.(1) ポンプ光とプローブ光の位相整合条件(ブラッグ条件)が厳密に満たされ,(2) 光ヘテロダイン検出の調整が自動的に実現され,さらに,(3) 熱波動の波長がPCからの操作で瞬時に変更できるようになった.
高効率な注入同期型光パラメトリック発生が実現された.出力されるテラヘルツ光の強度は約10kWにも及び,当初の目標を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
熱波動の光励起については,空間光変調器を用いた計算機ホログラムの応用によって,熱波動ホログラムの作成を試みる.また,熱波動の振幅と位相を可視化することも試みたい. 高強度テラヘルツ波光源については,量子常誘電体の低温実験への適用に対応させるため,出射方向などの配置の最適化を行う.また,透過配置での測定を試みるため,検出感度のさらなる向上を目指す.
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Causes of Carryover |
当該年度の研究進捗状況から,次年度分として繰り越して,消耗品費として計上した方が有効であると判断したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後,立命館大学での新たな実験に必要な,光学素子,電子部品等の予算として充当する.
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